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第25章
リュカ「ならよかった。じゃあお城の中でもまわってみる?」
『あ、それなら私さっきまでぐるぐるまわってたから案内するよ!…ってここはリュカの生まれたお城なのに案内ってのは何か変だけども』
リュカ「そんなことないよ。ここに来てすぐ洞窟に行ったからまだちゃんとまわれてないんだ。案内してくれる?」
『うん!任せて!』
ピピンくんのグランバニアツアーを体験した私はもう大体の場所へは行っている。
幸いドレスは足首より少し上くらいで動きやすいものだったので移動にも困らなそうだ。
***
部屋を出て、さっきよりも賑やかになったお城の中をゆっくり歩く。
兵士やお手伝いさんだけでなく、街の人も何やら色々準備をしているようだ。
リュカ「皆準備で忙しそうだね。こうしてのんびりしてるのが申し訳ないな…。」
『確かに…。手伝った方がいいかな?』
リュカ「僕もさっき聞いたんだけど"このパーティーはお前が主役も同然なんだからその必要はない"って断られちゃったよ。」
『あはは。まぁ言われてみればそうだね。』
もう一度バタバタと動き回るお城の人達を見る。
その光景はなんだかとっても生き生きとしていた。
『でもなんだか皆楽しそうだよね。』
リュカ「え?」
『なんていうのかなぁ…。笑顔で作業してるっていうか…やっぱり嬉しいんだろうね。大好きだったパパスさんの子供が無事に帰ってきてくれたことがさ。』
リュカ「ミキちゃん…。」
『うーん、ここじゃあ邪魔になっちゃうかもしれないし屋上行かない?』
リュカ「うん、そうだね。」
そして私はピピン君オススメの屋上へと向かった。
あそこなら多分準備の邪魔にはならないだろう。