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第24章





いつものやりとりを終わらせ、真っ直ぐ進んで行くとそこにはいくつかの扉と石版のようなものがあった。


アレフ「何だこれ?」


レント「何か書いてあるぜ。えーっと…?」




“王たるべき者 けしてあらそいを許すべからず。
 たがいに背を向ける者あらば 王みずから出向きてただしく向かい合わせるべし。
 すべては紋章のみちびくままに…。“  




エイト「さすが代々王様になる人が受ける試練の洞窟だけあって内容がそれっぽいね。」


ソロ「“争いを許すべからず”、か…。」


ナイン「何だかグランバニアが今まで平和だった理由が分かる気がしますね。」


アルス「うん。グランバニアの王様になる人は皆国の人達のことを考えてたんだね。」


皆が口々に述べる。
暮らしていた時間が短かったとはいえ、自分の故郷であるグランバニアのことを褒められるのは嬉しい。
何だかくすぐったい。

こんな気持ちになったのは久しぶりかもしれない。



ソロ「でもこれだけ書かれててもな…」


リュカ「どうやらこの扉の奥に行く必要があるみたいだね。開けてみようか。」


レック「ほらローレ、いつまでふてくされてんだ。行くぞ。」


ローレ「…別にふてくされてないっての。」



皆で一番右側の扉の中に入る。

すると中には鳥の形をした石像が二つ置いてあった。
何故だかどちらの鳥も背を向けている。


アレフ「この石像をどうにかするんだろうけど…」


レント「おい、後ろに青いスイッチみたいなのがあるぞ……ってうわっ!?」


ゴゴゴ…


レントがそのスイッチの上に乗ると、急に二つの石像が動き出した。
相変わらずどちらも背を向けたままだけど。


ローレ「びっくりしたぁ…」


アルス「なんだかケンカしてるみたいでイヤだね。」


そっぽを向いている石像を見ながらアルスがぽつりと呟いた。


レック「ほんとだな。お前達もうちょっと仲良くできないのかー?」


レックがぺしぺしと鳥の頭を叩きながら言う。

ケンカ…仲良く…。

二人の言った言葉をなんとなく考えていると、ハッとした。
それは皆も同じようで、顔を見合わせてりしている。


リュカ「レント、もう一度そのスイッチの上に乗ってみてくれるかい?」

レント「おう。」


ゴゴゴ…


石像が再び動き出し、向いている方向は違うものの先ほどのように背は向けていなかった。

このまま動かしていけば…。
レントが僕のアイコンタクトに頷き、もう一度スイッチに乗る。


ゴゴゴ…



ソロ「あ、向き合った。」


ナイン「なるほど…。“たがいに背を向ける者あらば 王みずから出向きてただしく向かい合わせるべし。”というのはこういうことだったんですね。」


エイト「今のところ変化が何もないってことは他の部屋の石像も同じように向き合わせろってことかな。」


謎が解け、さっそく他の部屋に行くことにした。


ローレ「あ。」


今の部屋から出てさっきの石版の所に戻ると、ローレが何かに気付いたように声を上げた。


リュカ「どうかした?」


ローレ「いや…この部屋に入る時はこの扉の前にあった紋章が今は左から二番目の扉の前に移動してんなって思って。」


ローレの指差す方向を目で追う。
そこには確かに扉の前の床に紋章が描かれていた。


エイト「へぇ、驚いた。全然気付かなかったよ。」


ナイン「僕もです。ですがこの紋章は一体何の意味があるんでしょうか…?」


ナインが紋章を見つめながら首をかしげる。

するとアルスがひらめいたように言った。


アルス「もしかしてこの紋章、この4つの扉に入る順番を示してたんじゃないかな?」


アレフ「入る順番?」


レント「あっ!なるほど。俺たちは最初何の違和感もなく右から入ったけど本当はこの紋章の場所通りに行かなきゃいけなかったんだな。まぁたまたま正解だったから結果オーライだけど。」


リュカ「ふふ、さすが推理組は冴えてるね。これで難なく行けそうだ。ありがとう。」


二人の見事な連携プレーにより、間違えず次に進めそうだ。


そして今度は左から二番目の扉に入り、同じように石像を向き合わせた。



アルス「…でも特に変化がないね。」


ソロ「そうだな。」


リュカ「いや、皆よく見てごらん。入口の方向に階段ができてる。」


さっきまでただの道だった所に、いつのまにか地下へと降りる階段が現れていた。


アレフ「やっぱりあの紋章と石像はそういう仕掛けだったんだな。」


レック「そうみたいだな。」


リュカ「皆、下はきっとモンスターが出るだろうから気を引き締めて行くよ。」


皆が頷いたのを確認し、僕を先頭に階段を降りて行った。



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