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第24章






***



アルス「ジメジメしてるけど何だか涼しいね。」


試練の洞窟に入り、皆でぞろぞろと歩く。
“洞窟”と名前がつくように、少しジメジメとはしているがどこかひんやりとしていて涼しかった。


レント「だなー。ていうかこのふわふわしてるやつ何だ?カビ?


ソロ「不思議な光だろ。


エイト「ソロって意外とロマンチストなんだね。」


ソロ「なっ…何でそうなるんだよ!」


ソロが真っ赤になる。
しかし否定の言葉が入ってない辺り、エイトの指摘は割と当たっているかもしれない。


ナイン「いえ、これは確かに不思議な力による光ですよ。どうやらこの洞窟自体に沢山の聖なる何かが宿っているのでしょうね。」


さすが天使だったナインは、そういう力には敏感らしい。



ソロ「…ほらな。」


ナイン「少なくとも誰かさんのカビなんて例えよりは的を射ててますよ。」


ナインの挑発的な言い方に、その“誰かさん”がピクリと反応する。


レント「ナインてめぇ…」


レック「ま、まぁまぁレント落ち着きなって。俺は珍解答としては満点だと思うぞ!」


二カッというとてもいい笑顔で親指を立てるレックの言葉は全くフォローになっていなかったのは言うまでもない。



レント「ほ、ホントは胞子かカビかで迷ったんだよ!


ソロ「そういう問題ではないと思うんだが。


アレフ「でも確かにここは魔物が全然出ないな。これもその不思議な力のおかげ?」


アレフがそこら中をふわふわしている不思議な光をすくうようにして手をかざす。


それにつられアルスも手を伸ばしたり、ジャンプしたりして自分よりも高い位置の光を掴もうとするがもちろん掴めるはずもなく、隙間から光が逃げていった。


アルス「でも王様達は最近じゃ魔物が出るんだーとか言ってたよね。もしかしたらこの不思議な力でこれから先も出ないんじゃ?」


ナイン「いえ、魔物が出ないと言っても“このフロア”だけです。」


リュカ「だってさ、ローレ。今の時点では君の“トヘロス”は必要ないんじゃない?」


チラリと横目でローレの方を見て珍しく楽しそうに笑ってからかうリュカ。
そのローレはというとギクッというように肩を一瞬だけ上げて固まった。


アレフ「え?ローレ何やってんの?」


アレフがひょいっとローレを覗き込む。
その瞬間ローレは目線を外し赤くなりながら、持っていた物を自分の背に隠した。

そしてもごもごと言いにくそうに口を動かしている。


ローレ「せ…せいすいだよ

エイト「ん?

ローレ「せ…せ、せいすいだっつってんだろ!悪かったな魔法使えなくて!


大きな声でムキになるローレに皆ぽかんとする。

が、すぐに吹き出して皆笑い始めた。


レント「ぶっ…!おっまえ何ムキになってんだよ!」


ソロ「…ふっ…くくっ」


アルス「ローレ、顔真っ赤…あははっ!」


レック「はっはっは!お前最高だよローレ!はははっ!」


ローレ「う、うるさいうるさい!皆して笑うな!リュカも何静かに笑ってんだよ!


リュカ「ふふっ…ごめんごめん。僕が秘密にしとくべきだったね。」


エイト「でもリュカがそんな風にからかうなんて珍しいね。」


リュカ「そう?まぁローレはからかいがいがあるからね。」



僕がそう言うと、ローレはまた少しムキになって反論してくる。

それに対して皆がまたからかう。


いつもの風景だが、妙にその雰囲気が微笑ましくなる。
まるでたくさんの兄弟を持った気分だった。



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