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第24章
『暇だ。』
豪華な部屋とベッドの中、ポツリと呟いてみる。
リュカに上手く諭され、結局グランバニアに残ることになった私は、今非常に暇であった。
だってやることないんだもん!
皆がいなけゃ来てくれる人もお手伝いさんくらいだし、話し相手がいないのだ。
お手伝いさんにはお仕事の邪魔しちゃ悪いからあんまり話しかけない方がいいだろう。
『……。』
むくりと上半身を起こしてみる。
『もうほとんど元気だし、お城の中くらいは歩いてもいいよね。』
そう思い、私はベッドから出て階段を降りていった。
***
入って来た時も思ったけどやっぱりグランバニアって大きいなぁ。
それにお城の中に町があるのも変わってる。
今まで旅して見て来たお城はどれも町は外にあって、城下町というのはそういうものだと思ってた。
何でなんだろ。聞いてみようかな。
私は噴水の近くにいた何人かの町の人にグランバニアについて聞くことにした。
『あの、グランバニアって何で城下町がお城の中にあるんですか?』
「お嬢さん良いところに気付いたね。先代の王パパス様はとてもできた王さまでね。国民の安全を考えて町もお城の中につくったんですよ。」
『へぇー、そうだったんですか!前の王様はグランバニアの人々をとても大切に想っていたんですね。』
「えぇ。町の皆はパパス王をとても信頼していましたし、慕っていましたよ。」
「だがこの国は随分長い間その王様が旅に出てしまって王のいない時代が続いたんだぜ。皆王様の帰りを待ったさ。しかし旅に出たままついに戻って来なくて…。数年前王位についたオジロンが今の王様ってわけさ」
「私は今のオジロン王よりパパス王が好きでしたね。パパス王には何かしら夢があった。その夢が何だったのか今となっては知るすべもありませんが……」
先代のパパス王のことを話す町の人達は、懐かしげでありながらもどこか寂しそうで、悲しそうな表情をしていた。
パパス王がグランバニア国の人々を大切にしていたように、町の人々もパパス王のことを本当に慕っていたのが分かった。
過去形ではなく今も慕い“続けて”いるに違いない。
私はその人達にお礼を言い、その場を離れた。
すると、今度は宿屋の近くでおもちゃの槍を構えている小さな男の子を見つけた。
「ていっ!てーいっ!」
可愛いなおい。
くっそもう私子供に弱いんだよ…!
ちっちゃい子可愛い…!
だがロリコンショタコンなんて言わせないぞ。
『何してるの?』
「悪いやつが来ないか見張ってるの!ボク、大きくなったら兵士になってこの国を守るんだ!」
そう言うと、男の子はピシッと背を伸ばした。
『ふふ、そっかぁ。お名前はなんていうの?小さな兵隊さん。』
「ボク、ピピンっていうんだ。お姉ちゃんは?」
『私はミキっていうの。よろしくね、ピピン君。』
「うん!よろしくね、ミキお姉ちゃん!あのね、ボクのお父さんも兵士なんだよっ。」
“ミキお姉ちゃん”という素敵すぎる響きと、えっへんという風にお父さんの自慢をするピピン君が可愛過ぎて私はもうどうしたら。
『おおー!かっこいいじゃん!じゃあピピン君も頑張って大きくなったらお父さんよりも凄い兵士にならなきゃね。』
「うんっ!あっねぇねぇミキお姉ちゃんは旅の人だよね?だったらボクがお城を案内したげる!」
『わっ、ちょっ』
こっちこっち!と私の手をその小さな手で引っ張るピピン君。
私もうショタコンでいいや