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第22章







リュカ「王様、お呼びですか。」

     

オジロン「おお、すでにシスターから聞いたぞよ。すまぬな、こんな時に。そこでリュカに話したいことがあるのだ。さあさあこちらへ。じつはなリュカ。わしはそなたに王位をゆずろうと思うのだ」




勇者達「「「「えっ!?」」」」



リュカ「あ、あれ?何で皆いるの?」


アレフ「追い出された。」


ローレ「ちげーだろ。」



大臣「オジロン王!私になんの相談もなく突然何を言われる!」


オジロン「まあまあいいではないか大臣。わしはもともと人がいいだけで王の器ではないのじゃ。兄上の息子リュカが帰ってきた以上、リュカに王位をつがせるのが道理というものだ」



ソロ「道理って言ってもな…」


アルス「旅はどうなっちゃうの?」



大臣「……。しかし代々王になられるお方は 試練の洞くつにゆくのがわが国のしきたり」


オジロン「だが大臣。昔と違い、今ではあの洞くつにも怪物たちが…」


大臣「どんな事があろうともしきたりはしきたり。守っていただかぬと!」




大臣が強く主張する。




オジロン「ふむ…。それもそうか……」


レント「どうでもいいけどこの王様、流されやすい人だな。


ナイン「レント、いい加減その癖直して下さいよ。」




オジロン「リュカよ。話は聞いたであろう。わしはそなたに王位をゆずりたいのじゃ。頼むっ!試練の洞くつに行って王家のあかしを取ってきてくれい!そしてその時こそわしはそなたに王位をゆずろうぞっ!」





アレフ「そんなの僕らだって旅してんだから引き受けるわけn」



リュカ「分かりました。」



アレフ「な……え?



レック「お、おい本気か!?」




オジロン「おぉ行ってくれるか!試練の洞くつはこの城の東 森の中じゃ!とはいえ今日は長旅で疲れておろう。出発は明日にし、今夜はゆっくりと休むがよい!」









***






エイト「ほんとに引き受けるの?」


リュカ「うん。」


アルス「でもでもその証を取ってきたらリュカはここの王様になっちゃうんだよ?」


ナイン「そうなるとリュカはここからは僕達と行かないということになるんでしょうか。」


リュカ「いや、もちろん行くよ。」


ローレ「でも国を放棄するわけにはいかないだろ。」


リュカ「その辺はまた証を取ってきた後にオジロン王に話すよ。」


ソロ「でもどうして引き受けたんだ?何か惹かれる物があるわけじゃあるまいし。王様っていう権利欲しさの柄じゃないしな、リュカは。」


レック「レントならあり得そうだけど。」


レント「何で俺なんだよ。べ、別に俺はそんなの必要ねーし。そ、そりゃロマリアでちょっと王様引き受けたけど


アレフ「何ゴニョゴニョ言ってんの。」


ナイン「きっとやましい事でもしたんですよ、そっとしておきましょう。」


レント「別にねーっての!」


エイト「あーもう。レントはいつも話を脱線させる。で、リュカ、何か理由があるの?」



するとリュカは静かに頷いた。



リュカ「この王の証を取ってくるのは代々王様になるしきたりだって言ってたでしょ?」


ローレ「確かに大臣が言ってたな。」


リュカ「するとこのしきたり、僕の父さんも受けたということになる。だから、僕も同じように受けたいんだ。父さんが家族のように思っていたこのグランバニアを、せめて形だけでも僕が受け継ぎたい。」



エイト「…なるほどね。」



皆も納得したようだった。





リュカ「ごめんね、旅を中断してまで引き受けちゃって…。明日は僕一人で済ませてくるから皆はミキちゃんに付いててあげて。」



レント「なーに言ってんだよ紫。」


リュカ「む、紫?」


レック「俺達も手伝うぜ。」


アレフ「そうそう。それにミキの看病したくてもどうせ追い出されるしね!」


ローレ「だから違うからそれ。第一サンチョに失礼だろ。」


ナイン「アレフはもう脳内ミキしかないですからね。」


アレフ「否定はしない!


ソロ「いやしろよ。」




相変わらずである。



アルス「それに昔と違って魔物だっているらしいもんね!」


エイト「ついて行くのは尚更だよ。」


リュカ「皆…。やっぱりさすが、勇者の集まりだね。ありがとう。」


ソロ「別に俺はレベル上げのついでだ。」


リュカ「ふふ、はいはい。」









これでまた、勇者達の絆が深まったのであった。
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