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第22章
***
サンチョさんについて行って広いお城の階段をいくつか上がり、天井のないフロアへと来た。
いい天気だなぁ。
そう思い、空を少し見上げてみる。
すると太陽の光が結構強かったのか、ちょっとフラッとした。
まぁさっきまで洞窟とか暗いとこにいたからね。
明るいとこにまだ慣れてないのかも。
少しよろけた時ソロが心配そうに見つめてきたけど、大丈夫だよと軽く返した。
*「これはサンチョ殿、どうなされました?」
サンチョ「重大な報告があり至急王に会いたい。どうか通されたい!」
*「はっ!」
アレフ「…サンチョさん何者?」
***
そして中に入ると、いかにも玉座の間という華やかさが見てとれた。
サンチョ「失礼いたします王様!」
オジロン「おおサンチョか。なにやら嬉しそうな顔。いい事でもあったのかな?」
玉座に座っている王様と見られる人がサンチョさんに目を向けた。
サンチョさんが王様に近付き、小声で話す。
サンチョ「じつは王さま……」
ローレ「何であんなコソコソと話さなきゃいけないんだ?」
アルス「さぁ?」
エイト「それは重大な情報だから他の家来達に聞かれないようにするためだよ。」
アレフ「何で聞かれちゃダメなの?家来って言っても大臣とか位の高そうな人しかいないのに。」
エイト「大臣とかだからこそだよ。王様に近い支配下だからこそ重大な情報を得やすく、それに基づいて寝返りやすい。つまり裏切る可能性が高い人物達ってわけ。」
『エイト凄いね。さすが元近衛兵…!』
私がそう言うと、エイトが少し照れながらも笑みを返してくれた。
エイト「僕だって伊達にお城で働いてたわけじゃないさ。」
レント「けっ。支配下とか裏切るとかさぁ?さすが腹黒バンダナ様の考えることは捻くれてんな。」
レントがまるで挑発するようにエイトにつっかかった。
いやいつものことではあるけど。
エイト「褒め言葉として受け取っておくよ。それにこれだけははっきり言える。レント、少なくとも君よりは真っ直ぐな気持ちで生きてるよ。」
レント「はぁ!?どう考えたって俺のが真っ直ぐだろ!」
ナイン「どの口が言ってるんですか?」
レント「どーゆー意味だコラ。」
レント達が騒いでいる間に、サンチョさんがオジロン王に事を伝え終わったようだ。
オジロン「なんと!パパスの…兄上の息子のリュカが生きていたと申すかっ!…おお!その目はまさしく兄上の奥方マーサどのに生きうつし!」
リュカ「…。」
“マーサ”という名に、リュカがピクリと反応した。
パパスさんの奥さんってことはリュカのお母さんにあたる人だよね。
マーサさんもリュカみたいな不思議で優しい目をしていたのかな。
オジロン「あの時の赤ん坊がこれほどりっぱに成長して帰ってくるとは…。申し遅れたがわしはそなたの父パパスの弟のオジロンじゃ。」
レント「俺どーしてもオロジンって覚えちゃうんだよなぁ」
ソロ「お前外行けよ。」
オジロン「して後ろにいるこの方々は…?」
オジロン王は今度は私達に目を向けた。
すると私達の代わりにサンチョさんが答えた。
サンチョ「この者達は坊っちゃんと共に旅をしている仲間でございます。」
オジロン「ほう。こんな大勢で旅とはまた随分と事が大きいのであろうな。…おや、これはこれは可愛らしいお仲間もいるものだ。名は何というんだ?」
突然自分にふられて少し驚く。
いかんいかん。
ここはちゃんとしておかなくちゃ。
『はい王様。私はリュカと旅をさせていただいておりま、す、ミキ…と……』
あ、やばい。
またくる。倒れる。
バタンッ…
オジロン「こ、これはいったいどうしたことだっ!?」
サンチョ「い、急いでベッドへ!」