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第22章
***
『ここがグランバニア…』
ついにグランバニアへ着いた私達。
まだ中まで入ってはいないが、外から見ても大きくて立派なお城というのは十分見て分かる。
アレフ「城下街が見当たらないけど、中はどうなってんだろ。早く中入ろうよ!」
ナイン「待って下さい。こっちに家がありますよ。」
ナインが指差す方向を見ると、確かに一軒の家があった。
レント「じゃあそっから行ってみるか。」
『そうだね。』
***
ガチャッ
シスター「あら?お客様がいらしたみたいね。それじゃ私はこれで…」
私達が家へ入るなり、中にいたシスターが気を遣って外へ出た。
*「すいません。何かご用ですか?」
シスターが帰ったのを確認し、大柄で優しそうなおじさんが私達を見回しながら尋ねた。
リュカ「サンチョ……!」
リュカが一歩前へ出て、そのおじさんに近付く。
この人がさっき言ってたサンチョって人なのかな。
サンチョ「はて…。どこかでお会いしましたかな?…ん?」
最初は首を傾げていたサンチョさんだが、リュカを見て何かを思い出したようだ。
サンチョ「も、もしやリュカ坊っちゃんでは!?」
リュカ「そうだよ。僕だ。久しぶりだね、サンチョ。」
サンチョ「生きて……生きていなさったんですね……。
どれ、もっとよくお顔を見せてください。」
サンチョさんの表情が次第に嬉し泣きへと変化する。
サンチョ「本当に……立派になられて……ところでそちらの方々は?」
感動の再会を邪魔しないよう、今まで黙っていた私達にサンチョさんが目を向けた。
リュカ「あぁ、今一緒に旅をしている僕の仲間なんだ。」
そう言って、私達を紹介するリュカ。
サンチョ「こんなに沢山引き連れて一体何の旅をしてるのですか?坊っちゃん。」
リュカ「それは……」
言いかけて、リュカは私達にチラリと目を向けた。
話すと長くなっちゃうし、公にしてもいいものか迷っているのだろう。
どうなんだろ…。
世間に広まって騒がれてもダメだし、かと言ってコソコソやるのもね…。
しばらく黙っている私達を見て察したのか、サンチョさんが先に切り出した。
サンチョ「ふむ…。どうやら話すのをためらう程重大な目的を背負っているわけですな。では深くは聞かないことにしましょう。」
とにかく、とサンチョさんが続ける。
サンチョ「坊っちゃんが帰ってきたことをオジロン王に知らせなきゃ。」
リュカ「オジロン王?」
サンチョ「はい。」
そう言うと、サンチョさんはじっとリュカの目を見つめ、静かに語り出した。