第21章
第21章
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『やっと外出たーっ!』
しばらくまた洞窟の中を進んで行っていると、やっと本当の出口らしき所を出た。
うん。
地上だ。
アレフ「もーレック!お前のライデインのせいで服の裾ちょっと焦げたじゃん!」
レック「知るか。」
アレフ「僕が避けたからこれで済んだものの…このサークレット、金属なんだから気を付けてよ。感電したらレックのせいだからね!」
そうワイワイとしていると、前方に吟遊詩人のような格好をした男の人がいた。
ソロ「ここの世界は一人旅がブームか?」
アルス「確かに。さっきから一人でいる人が多いもんね。」
*「あの人は無事に着いたかなあ……。」
吟遊詩人が独り言のようにぽつりと呟いた。
エイト「こんな目の前で呟かれたらその続きを聞かなきゃいけない空気になるよね。」
ローレ「だな。」
*「もう随分前の話ですが、サンチョって人がここを通ってグランバニアに向かったんです。」
ナイン「Σまだこっちが尋ねてないのに!」
リュカ「サンチョ……?」
この間の時みたいにリュカ一人だけが反応した。
やっぱりここはリュカの世界なんだ。
リュカ「そのサンチョって人がどうかしたんですか!?」
リュカが自ら詩人に尋ねた。
*「いえね、なにやらさびしそうだったので妙に気にかかったんですよ。」
『さびしそう?』
リュカ「サンチョ……」
そう言葉を漏らすリュカも、少しさびしそうな表情に見えた。
レント「とりあえずグランバニアへ行こうぜ。もうここからでも若干城らしき所が見える。」
レントもリュカの表情に気付いたのか、早く行こうと皆を促した。
本当だ。
ここからでもお城が見える。
私達は、洞窟を抜け大きな像が並べられてある道を通り、グランバニアを目指した。
あと少し。
そのグランバニアで大きな出来事が起きるとは、この時の私達はまだ知らなかった――。