第21章

第21章






レック「で。次は誰が行く?」



上に残った私達を見回し、レックが尋ねた。





ど、どうしよう…。


この中で一番行けそうにないのがもろ私だ。


他の皆なんて超タフだよ!


タフ過ぎだよ!



あんな高さから飛び降りたら絶対死んじゃう。




怖い。




私は下を覗き込みながら、そう当たり前のことを感じた。




すると、ローレが口を開いた。




ローレ「俺が行く。」




さすが!

勇敢だ。


私はローレを見てそう思った。





しかし何を思ったのか、ローレは崖へ向かわずに私の方へと近付いた。




『?』





そして、




『きゃっ!?』





ローレが私の背中と膝の裏に腕を通し、横抱きにした。




回りくどい言い方をしたけど、つまりは"お姫様抱っこ"をしたのだ。





『ななな何やってんの!?』




いきなりのことで、恥ずかしいやらびっくりするやらで軽くパニック状態な私。




アレフ「そ、そうだよ!何やってるんだよ!」


リュカ「ローレ、さっきの魔物にメダパニ食らったっけ?」




皆も口々に言う。



するとローレは私を抱いたまま、顔だけ皆の方に振り返った。





ローレ「いっつも力だけが取り柄だとか無駄な力とか言うけどさ。」




ローレが淡々とした口調で話す。




ローレ「この力が本当に無駄かどうか、超役に立つところ見せてやるよ。」





そう言い終わるとほぼ同時に、アルスの時のように崖の外側へとジャンプした。



その時に耳元でローレが、「しっかりつかまっとけよ」と言ったので(言われなくてもそうするが)、ローレの首に腕を回してしがみついた。






私の髪が少し上になびき、それだけで勢いよく急降下しているのが感じ取れる。



まるでジェットコースターで落ちる時みたいな感覚だ。





それから間もなくして、またもやスタッ…と軽快に着地したローレ。



凄い…。


ほとんど振動を感じなかった…。





『ローレ、ありがとう。』


ローレ「あぁ。」




私がお礼を言うと、ローレはそう短く答えた。


少しだけ顔が赤く見えたのは気のせいかな。








レント「おい、そこの青い俺の子孫。


ローレ「は?」


アルス「もう降りたでしょ!早くミキから離れてよ!」





Σハッ…!

そうだった!
私、お姫様抱っこされたままだった!



アルスに言われて気付き、ローレに頼んで降ろしてもらおうとした。




『ごめんローレ重かったよね?降ろs…』


ローレ「嫌だって言ったら?」



『え?』



"嫌だ"?




その言葉に疑問を持ち、思わずローレの顔を見る。



するとローレが少し意地悪な笑みを浮かべていた。



ぜ、絶対わざとこんなこと聞いてる!

ていうか遊ばれてる!?




ローレ「このままミキを抱えてちゃダメ?」




口元には笑みを浮かべ、伺うように聞いてくるローレ。




『い、いや、あのダメというか私重いし…』




"ダメ?"って聞かれてちょっと可愛いなとか思ってしまったじゃん!





ナイン「そんなことダメに決まってるじゃないですか。」


エイト「僕に無断でミキに触れるなんていい度胸してるよね。」


リュカ「いくら男は度胸でも、そんなところで使ってほしくはないな。」





突然聞こえた声に振り向くと、そこにはいつの間に下へ降りたのか、今まで上で残っていた皆がいた。



いや、ホントにいつの間に降りたの!?



全然気付かなかった。





アレフ「ほらさっさと離れる!」


レック「10秒以内にミキを降ろさないとライデインだから。」


レント「10987654321はいアウトー!」


『Σいや速すぎだよ!』




ローレ「はぁ…仕方ない。皆がうるさいから降ろすか。」




そう言ってローレは溜め息をつきながら、ゆっくりと私を降ろしてくれた。





アレフ「さあミキ。今度は僕がお姫様抱っk」


レック「ライデイン






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