第21章
第21章
…つもりだった。
レック「ミキ、本当に大丈夫か?」
『大丈夫だよ。』
レック「何ならおぶってやってもいいぞ?」
『もー心配性だなぁ。大丈夫だって!』
またグランバニアへと向かい始めて、さっきからこればかり。
もちろん他の奴らだってミキを気遣い、似たようなけとを言っている。
だが、レックはそれ以上なのだ。
少し坂がきつい所となれば、ミキを引っ張ってやったりして手助けをする。
ミキもやはりしんどいからか、割と素直に頼っている。
ローレ「…っ」
正直、イラついた。
最近、レックとミキの距離が以前よりも縮まったような気がしてならない。
多分、ミキがあの杖に操られた後くらいからだ。
さっき落ち着かせた気持ちが、また戻って来そうだ。
アルス「あれ、また洞窟だ。」
アルスの言葉に、一度現実に戻されたような感覚になった。
目の前には、先程通ってきたような洞窟への入り口。
『ここを通り抜けたら、グランバニアかな?』
レント「そうじゃねーとさすがの俺も疲れるぜ。」
『うん。もう全身筋肉つ…あ、いや何でもない。じゃあ行こう!』
また無理してる。
筋肉痛くらい言えばいいのに。
それさえも我慢する彼女に、俺は何て声をかければいいのだろうか。
きっと、何を言っても"大丈夫"しか返ってこない。
何か、俺にできること…