第21章
第21章
***
『ん……』
ぱちりと目を覚ましたミキ。
ローレ「ミキ!」
俺はすぐに反応した。
『あれ…私…』
あたりをキョロキョロと見渡すその表情は、まだ顔色があまりいいとは言えない。
レック「ミキ!大丈夫か!?」
『レック…。それにローレも…。』
"それに"がつくのかよ。
俺の方が先に反応したのに。
『私……そっか。倒れたのか。』
そう悲しそうな表情をするミキを見て、少し胸が痛んだ。
きっとまた自分が倒れたことによって、皆に迷惑をかけたとでも思っているのだろう。
レック「あれだけ無理すんなって言ったのに…」
『ごめん…』
コイツは何言ってんだ?
起き上がってすぐに謝らせるようなことを言って…。
『他の皆は…?』
ローレ「買い出し。」
『そっか。』
ミキは、ふぅ…と一度ため息をつき、ゆっくりとベッドから立ち上がった。
レック「お、おいミキ。もう少し休んどけよ。」
ローレ「そうだよ。まだ顔色もあんまりよくないし…」
しかしミキは首を横に振り、休もうという申し出を拒否した。
『私ならもう大丈夫だから。ほら、もうこの通り元気だよ!』
そうニコッと笑顔を見せるが、やはり顔色がよくない。
『顔色が悪いのは光の加減だよ。ほら、ここ雪多いでしょ?』
さぁ出発出発!なんて言いながら、宿屋の人にお礼を告げて外へ出るミキ。
レック「あれ…無理してんじゃないかな。」
レックがぽつりとつぶやく。
ローレ「…。」
俺は無言で宿屋を出た。
そりゃあ俺だって、ミキが無理をしていることくらい分かる。
だけどレックが言うことに、どうしても頷きたくなかった。
あいつがミキの何を知ってる?
最後に仲間になったくせに。
ローレ「ムカつく…」
あいつにもムカつくが、こんな考えを持ってしまっている自分にもムカついた。
ローレ「こんなの、完璧嫌な奴じゃねぇか。」
あきらかに嫉妬だ。
ローレ「はぁ…。こんなこと考えてても仕方ないか。」
むしろこれではギスギスしてしまい、かえってミキを悲しませるかもしれない。
俺はそう思い、何とか気持ちを落ち着かせた。