第19章
第19章
『うわぁ…本当だ!とってものどかで素敵な村だね!』
広がる緑に木造の家、村の中を流れる綺麗な小川…。
ゼシカやエイトの言う通りの場所だ。
ソロ「こうも平和だと、世間で騒がれてる魔王とかそういうのを忘れそうなくらいだな。」
『そうだね。もうずっとここに閉じこもっていたいくらい。』
ローレ「まぁこういう村を守るためにも俺達が前に進んでかなきゃいけないんだよな。」
ローレがぽつりと呟く。
全員「(∵)」
ローレの何気ない言葉に、その場にいた全員が目を点にする。
ローレ「な、何だよ。」
ナイン「いや、まさかローレの口からそんな言葉が出るなんて思ってなかったものですから…」
アルス「僕も…」
ローレ「お前ら素晴らしく失礼だな。」
すると、
*「ゼシカ姉ちゃーん!!」
子供の声が聞こえて、私達はそっちを振り返った。
ゼシカ「ポルク、マルク!」
ポルクとマルクと呼ばれた男の子二人が、ゼシカに駆け寄る。
アレフ「え、コルクはいないの?」
レック「いや、何勝手に一人増やしてんだよ。」
レント「どうでもいいけどコイツらの兜の差は何だ。」
ポルク「ゼシカ姉ちゃん、帰って来たってことはサーベルト兄ちゃんのカタk…」
『キャー可愛うぃー!!』
ポルク・マルク「Σ(゚口゚;)!?」
そう言って二人に抱き着くミキ。
『何この子達!可愛い!』
ポルク「な、何だよコイツ!」
マルク「ぜ、ゼシカ姉ちゃぁん…」
いきなり知らない人に抱き着かれ、アタフタするポルクと苦しそうにゼシカに助けを求めるマルク。
リュカ「もう可愛い通り越して可愛"うぃー"になってるね。」
穏やかに笑うリュカとは裏腹に、何人かは違う笑みを浮かべていた。
レック「お前らちょっと離れようなー。」
エイト「ポルク、マルク。初めて会った時のこと覚えてる?今なら喜んで戦ってあげるよ。」
レント「おいクソガキ。さっさと離れねぇとそのナベぶっ壊すぞ。」
マルク「ふ、ふえぇ…」
ポルク「何言ってんだよ!この女が勝手に…」
ローレ「問答無用。」
ククール「お前らはどこのチンピラだ。」
その光景を見ていたゼシカが溜息をついて、私と二人を引き離した。
ゼシカ「もうミキったら…二人が可愛いのは分かるけど急に抱き着いたりしちゃ駄目でしょ?」
『はーい…あー可愛い』
ヤンガス「ミキの嬢ちゃん、聞こえてるでがすよ。」
ソロ「誘拐するなよ。」
『大丈夫、許可取ってからするから☆』
アルス「Σしちゃ駄目だよ!」
そんな風に他愛のない(?)話をしていたら、どこからか優しい自然の風が吹いた。
しかし皆はただの風としてか捉えていないらしく、普段通りだ。
この風……この世界の風じゃない…。
なぜだか私はそう感じた。
何か別の世界の、まるで私達を呼んでいるかのような風だった。
その時――。
パアッと眩しい光が私達を包み込んだ。