第19章
第19章
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私は身支度を整え、皆がいる部屋へと行った。
が。
『ど、どうしよう。普通に入ればいいんだよね?』
部屋まで来たのはいいものの、私はドアの目の前で止まっていた。
『何となく顔が合わせずらいなぁ…』
昨日まで私は自分であって自分じゃないような感じだったし、レックの前では泣いちゃったし…。
私がドアの所でためらっていると、中から皆の話し声が聞こえた。
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エイト「レント、またミキを起こしに行ったの?」
レント「おー。」
アレフ「えぇっ何それ。じゃあミキの寝起き見たの!?」
レント「おー。」
ローレ「ずるいぞご先祖。」
アルス「しかもエイトの"また"って、前にもミキを起こしに行ったってこと?」
レント「おー。」
ソロ「その相槌ウザい。」
ナイン「ていうかいつの間に起こしに行ったんですか。」
リュカ「確かに。全然気付かなかったよ。」
レント「だって他の奴に先越されたら嫌だし。アイツを起こしに行くのは俺の特権」
レック「え、何その素晴らしい権利。」
ローレ「おいレント、その権利譲れ。」
レント「はぁ?嫌だね。」
エイト「ていうかいつレントの権利になったの。」
アレフ「レント、500G払うからさ!」
レント「イ・ヤ。しかも安っ」
レック「じゃあレイドック城の宝箱の中身一つだけあげるから!」
レント「だから嫌だっつの」
ローレ「だったらローレシアの税金の半分やるから!」
アルス「Σいやダメでしょ!」
ソロ「何考えてんだアホ王子」
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何か競りが始まってる。
ドア越しだからあんまり聞こえなかったけど、何か特権とか譲るとか…。
ふふ。
相変わらずだな、皆。
そんな何日も離れていたわけじゃないのに、なぜか私はこの賑やかさが懐かしく思えた。
早く皆とお話したい。
私はそう思って、
ドアを開けた。
ガチャッ
『皆、おはよう!』