第18章

第18章






バタン…






レック「ふー……」




ミキの部屋から出た俺は、まず溜息をついた。





レック「あんな可愛い顔で何度もお礼言うなよ…。」






もう、色んな意味で色んな所がぶち切れそうだった。





それに、あんなに弱ってるミキは初めて見た。


いつもニコニコと笑顔を絶やさないミキが、あんなに取り乱して…。



ただでさえ小さいのに、さっきのミキはもっと小さく見えた。



少しでも抱きしめる力を強めたら壊れてしまうんじゃないかって本気で思った。




レック「それに、うっかりとんでもないこと言っちゃったもんなー。」


アレフ「へー。何を?」


レック「Σうわぁっ!!




いきなり横から声がしたので、つい大声を出してしまった。




レック「な、なんだアレフか。びっくりさせんなよ…。」


アレフ「いや、びっくりも何も僕最初っからレックの隣にいたよ?」


レック「Σえぇぇ!?」


アレフ「レックってばずっと目線送ってたのに全然気付かないもんなー。」




全然気付かなかった…。


いや、ちょっと待て。


最初っから隣にいた…?


ということは、俺の独り言は丸聞こえ…。


俺は、今に至るまでを巻き戻してみた。




――ふー……――


いや違う。
これはただの溜息だ。


――あんな可愛い顔で何度もお礼言うなよ…――


これも違…くない!!
これはマズい。





アレフ「で、何をうっかり言っちゃったの?





こ、これアレフだよな?


エイトじゃないよな?



笑顔が黒笑いなのは気のせいか。

誰か気のせいだと言ってくれ。


あんなこと言ったと知られると何されるか分かったもんじゃない。





アレフ「どうやら部屋では随分とお楽しみだったようだね(黒笑)」


レック「いや、それは違…」


アレフ「これは僕もうかうかしてられないかな?」




アレフが壁にもたれながら呟く。




うかうかしてられない?


それはつまり…





アレフ「あははは。冗談だよ冗談!ほら、皆に伝えに行くんでしょ?僕先に行っとくよ。」




そう言って、いつものへらへらしたアレフに戻った。





あれは本当に冗談か?




スタスタと皆がいる部屋に向かうアレフの後ろ姿を見ながら、俺は密かに思った。






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