第18章
第18章
***
『う……ん』
ここ、どこ…?
気付いたら、私は知らない部屋で寝ていた。
まだ目が少しぼやけている。
そこにいるのは…
『レック…?』
私がそう呟くと、俯いていたレックがハッとしたように私を見た。
レック「ミキっ!!」
『私……どうしてたの?なんだかずいぶん長い夢を見てたような気がするけど……。』
段々と意識がハッキリしてくる。
レック「よかった……。正気を取り戻したんだな。」
『正気を取り戻す?』
レック「覚えてない?俺達はドルマゲスを倒して、その翌日にミキが姿を消したんだ。」
『……ううん。覚えてる。だけどひょっとしたらあれは夢だったのかと思って……。レックがここまで運んでくれたの?』
レック「いや、運んだのはエイトだ。他の奴らも色々とやってたけど。今は交代で様子を見に来てる。」
『そっか……。私ね、まがまがしい魔のチカラに完全に身も心も支配されてたんだ……。
……あのドルマゲスと同じように。』
レックは黙って私の話を聞いてくれている。
『きっと、私の心の弱さが原因だなって思うの…。最初に自分がどんな存在か知らされた時、どうしても受け入れたくなくて反論した。あはは…その時から迷惑かけてたかも…。』
私が力無く笑う。
『戦闘の時なんて特にそう。いっつも私は少し離れた場所で魔物が倒されるのを見てた。その度に思うんだ…。皆が辛い思いして戦ってるのに、私の体には傷一つない…って。』
レック「ミキ…。」
レックが私の名前を呼んだ。
しかし、私は言葉が止まらなかった。
『ソロの村やライフコッドが魔物に襲われたのを見て、あぁ…私がさっさとしないからこんな風になっちゃうんだって思った。早くしなきゃ世界が危険にさらされる…。』
レック「おいミキ…」
『でも私には皆みたいに力がない。所詮光の神なんて…特別でもなんでもないんだよ…っ。ただ皆に守られるだけのただの人…。』
レック「なぁミキ、聞いてくれ…」
レックが何か言ってるけど、そんな言葉も耳に入らないくらい私は混乱していた。
言えば言う程過去のことがフラッシュバックする。
『本当は…っ、あの杖を持った時、あんな呪いなんて振り払えた…っ。だけど、もしこの杖の力を使ったら凄い力が手に入るかもしれない。皆を…世界を救える力が、私みたいなただの人にも備わるかもしれない…。そう思ったの…っ。だけど、そう考えてると何だか悲しくて…っ…!?』
すると、レックがいきなり私を抱きしめた。