第16章
第16章
チェルス「それ以上近づくなっ!何者だか知らないが、ハワードさまに手を掛けようというのなら、この僕が容赦しないぞっ!!」
ハワード「なーにがこの僕がじゃ。お前が容赦せんかったからと言って何ができるんじゃ。このボケナス。チェルスよ、そこをどけ。」
チェルス「ハ…ハワードさまっ!」
ハワード「……女よ。わしを大呪術師ハワードと知っての狼藉じゃろうな?
だがあいにくだったな。
わしはわしでお前さんが来ることくらい占星術でとっくに予知しとったのじゃ。
ゆえにわしを殺そうとする杖使い女を退治するまじないも、すでに会得済みというわけじゃ。
今回は残念じゃったな!
さあ尻尾を巻いて退散するがいい!!
……せりゃあっ!!」
床に魔法陣が現れ、結界が作られる。
『くすくす……。
悲しい……。4人の賢者の魂を得たこの杖の前では、そんな結界が何の意味もないことが分からないんだ。』
少女が杖を微かに動かす。
すると、結界がみるみるうちに消えていく。
ハワード「……な…なにっ!?そ…そんなバカな!
もう一度くらえっ!
せりゃあっ!!!」
結界がまた現れるが、少女はいとも簡単に入って行く。
『ねぇ、もう終わりにしよう?あがき続ける姿を見ているのは悲しいの……。』
レック「ミキ……。」
レックが呟く。
その声に、杖を持った少女…ミキが振り向いた。
『……あれ?…ふふ…。もう来たの?思ったよりも早かったね。』
そしてミキがまたハワードに向き直る。
『ふふ…。結界が役に立ったね。
今の茶番がなければとっくに死んでいたはずなのに。
今日のところは退散してあげる。
この人たちを相手にしながらじゃ、さすがに私も分が悪いもん。
今度来るときまでにはもっと守りを万全にしておくといいよ。
…それじゃあね。』
アルス「ミキっ!!」
しかしミキは何も答えず、静かにその場で消えていった。
アレフ「ミキ…だった…よね?今の……。」
エイト「…うん……。」
本当は頷きたくない。
でもあれは間違いなくミキだった。
しかし僕達のよく知っているミキじゃない。
いつもの素直で明るく、優しそうな面影は一つも見当たらなかった。
ククール「顔色が悪いっていうのはそういうことだったんだな…。」