第15章
第15章
リュカ「ミキちゃん…?」
レント「バカ…!お前は…あっちに隠れてろ…!ゴホッ…」
ドルマゲス「これはこれは光の神が直々に…ということですか?くくっ…しかし所詮はただの子供にすぎない。」
そんな言葉も私の耳には入らない。
スゥ…と静かに息を吸う。
そして目を閉じ、私は頭に流れ続けるメロディーを、そのまま口にした。
『…――♪―…――♪』
私の歌声が、その場に響き渡る。
『―……―-♪‐…』
ゼシカ「綺麗な歌声…。不思議だわ…心も体も安らいでいく…。」
アレフ「本当だ。疲れもとれるような歌声…。」
レック「おい見ろ!傷が治ってどんどんHPが回復してる。」
『♪-‐…♪…--―』
ドルマゲス「な、何…っ!?」
ナイン「これは…。」
エイト「何か知ってるの?」
ナイン「はい。これはゴスペルソングと言って、僕の世界での僧侶の必殺技なんです!」
ローレ「ん…。この歌声は…?」
アルス「ローレが起きた!」
ククール「く…。」
ヤンガス「ククールも起きたでがす!」
ククール「この歌声は一体…?」
ソロ「どういうことだ?回復して、寝ていた奴らまで起こしちまうなんて…。」
ナイン「ゴスペルソングは仲間全員の体力と状態異常を回復させる効果があるんです。」
レント「すげぇ!」
『―-♪-……』
ふ…っと頭に流れていたメロディーが止み、私も静かに口を閉じた。
辺りがシ…ンと静まり返っているのが分かる。
ドルマゲス「ば、馬鹿な…!」
私はゆっくりと目を開けた。
私が今思っていること。
それはただ一つ。
物凄く恥ずかしい
何いきなり歌い出してるの自分…!
意味分かんないよ!
歌ってどうすんの!
ギャラリーが多いだけに余計恥ずかしいよ!
穴があったら入りたいっていうのはきっと、こういう時のことを言うに違いない。
レント「サンキューミキ。」
『え…?』
何でレントはお礼言ってるの?
ソロ「ミキの歌声のおかげで体力が回復した。」
か、回復!?
あの歌ってそんな効果があったの!?
ローレ「ミキ、後は俺達に任せとけ!」
レック「今まで寝てた奴がよく言うよ。」
ローレ「うっせー!お前だって最初っから寝てただろ!」
レック「あれ、そうだっけ?」
ローレ「とぼけんな。」
何だかよく分からないけど、どうやら私の歌は無駄じゃなかったみたい。
よ、良かった。
本当にホッとした。
恥ずかしいことには変わりないんだけど。
リュカ「体力が回復すればこっちのものだよ。」
エイト「油断したね、ドルマゲス!はぁっ!」
ドルマゲスが動揺している隙に、エイトがはやぶさのように素早く二回切り付ける。
ドルマゲス「ぐわぁっ…!」
動揺していた上に、どうやらエイトはスーパーハイテンション状態ではやぶさ斬りをしたらしく、ドルマゲスは多大なダメージを受けた。
さらに続けてローレが襲い掛かる。
ザシュズガンッ!!
会心の一撃!
ドルマゲス「ぐぁぁ…っ!」
ドルマゲスが呻き声をあげながら胸を押さえて、その場にうずくまった。
『勝った…?これって勝ったの…?』
私が恐る恐る聞く。
ドルマゲスはうずくまったまま動かない。
ソロ「ぽいな。」