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君の色にも染まりたい



 最初は何気ない日常のことを話す延長線で、彼女とのことも話していた。それがいつからだろう。俺と彼女のふたりの間に起きたことや、ナマエのことなどをもっと聞いて欲しくて。気が付いた時には飲みの場で、所謂惚気話をするようになっていた。

「なぁなぁ、キースもブラッドも聞いてくれよ〜!」
「どうせまーた彼女の話だろ? もういいよ、お前の惚気は。腹いっぱいだっつーの」
「相変わらず仲睦まじいようで何よりだ」

 もういいとか腹いっぱいとか言いながらも、なんだかんだでキースは惚気を聞いてくれる。まぁ結構な頻度で「うへぇ、甘すぎて胸焼けするわ……」って顔を顰められるけれど。一方のブラッドは穏やかに聞いてくれることが多い。たまーにブラッドの方から惚気けてくれることもあって、それが聞けた時はすごく嬉しいし、すごく楽しくて。いつもより酒も美味しく感じてつい飲み過ぎてしまう。と言っても俺はあんまり酔わないし、二日酔いになる心配もないからいいんだけどな。

「それで、今回はどうしたんだ? そういえば以前、近いうちに彼女と一緒にピザを作るんだと言っていたが……」
「あ、そうそう! その話もしたいんだけど、それとは別に聞いて欲しいこともあるんだ!」
「別って言ってもなぁ。どうせピザだろ?」
「えっ! キース、なんでわかったんだ!?」

 むしろなんでわからないと思ったのか聞きてぇよ。呆れたようにそう言ったキースは、ジョッキを傾けてぐびぐびとビールを呷った。
 最近彼女とデート中に入ったお店のピザがすっごく美味しくて、クワトロフォルマッジを幸せそうに食べるナマエがすっごい可愛かった、っていう話をしたかっただけなんだけど。どうしてピザが関係しているとキースはわかったんだろう。やっぱりアカデミー時代から一緒に過ごしてきた友であり、同期だからかな。

「そういえばピザで思い出したんだけど、最近ナマエが俺の影響でメニューにピザがあるか探しちゃうし、あるとついピザを頼んじゃうことが増えたって言ってたな」
「……それ染まってねぇか? ディノっつーか、もはやピザに」
「共に過している相手から、影響を受けることはあるからな。それが好きな相手ともなれば、尚更受けやすいのだろう」
「いや、これそういう問題か……?」

 世の中には美味しい物がたくさんあるし、何を食べるかはその人の自由だ。だけど、俺が好きな物を一緒に食べてくれて、美味しいねって笑ってくれて、幸せな気持ちをくれて。色んな選択肢がある中でピザを選んでくれるその優しさが、俺に対する愛情が何よりも嬉しい。これってすごく、すごくラブアンドピースだ。

(でも、いつもピザになっちゃうしなぁ……あ、そうだ! 今度はナマエの好きな物を一緒に食べよう。うん、それがいい!)

 彼女が好きな物は覚えているから、事前に美味しいお店を調べておいて、次のデートの時にでも一緒に行こう。大好きな人と大好きな物を食べる幸せを、ナマエにも味わって欲しいから。そうしたらまた、ブラッドとキースに聞いてもらおうかな。もちろん、二人の惚気話も聞かせてもらうつもりだけど♪

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