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君色アニバーサリー



「なぁ、ブラッド。最近彼女さんとはどうなんだ?」

 酒が入ったグラスを片手に、ディノは興味津々といった様子でそう聞いてきた。そんな彼の隣にいるキースは案の定というかあまり興味はないようで、ぐびぐびとジョッキに入ったビールを飲んでいる。

「どう、と聞かれてもな」

 聞かれたところであまり話すようなこともなく、どうしたものか。
 そもそも、この飲みが始まったばかりの時はお互いが担当しているルーキーの話や、懐かしい昔話などで盛り上がっていたというのに。何故ディノがこの手の類の話もしたがるのか、よくわからない。

「そんなこと言わないで話してくれよ〜! 最近デートでどこへ行ったとか、そういう話でいいからさ」
「いや、男同士でそういう話しても楽しくねぇだろ……」
「え〜? 俺は楽しいんだけどなぁ。話すのも楽しいし、話を聞くのも楽しい! すっごく幸せな気持ちになる! これぞラブアンドピースだ……☆」

 グラスに残っていた酒を飲み干して、空になったそれをテーブルに置きながら、少しばかり悩んでいたことを思い出す。ディノが聞きたいと言っていたナマエとの近況の話ではないが、参考までに意見を聞きたいので話してみてもいいかもしれない。そう思い口を開く。

「少しいいか。参考までにお前達に意見を聞きたいことがあるんだが……」
「お前が? オレ達に?」
「何だろ? 俺もキースも力になるし、遠慮なく話してくれよ」
「ああ、感謝する。実は、彼女と付き合いを始めた記念日が近いんだ。そこで何かプレゼントをと考えているのだが、どんな物がいいか少し悩んでいてな」

 これが誕生日プレゼントだったのなら、ナマエに欲しい物を聞いたり事前に調べるなどして用意をするのだが。今回は記念日のプレゼントだから、彼女には当日まで秘密にしておきたかった。サプライズというのもたまには悪くないだろうと思ったからだ。

「なるほど。記念日のプレゼントかぁ」
「お前が選んだ物なら何でも喜ぶんじゃねぇの?」
「それは……彼女なら一理ある。しかし、そういう訳にもいかないだろう」
「キース、真面目に考えないとダメだろ? ブラッドは真剣なんだから」

 ディノに窘められたキースは「へいへい」と気の抜けた返事をして、またジョッキを手に取りビールを呷った。そこまで期待をしていたわけではなかったが、やはり一人で考える方が合理的だったかもしれない。まぁ、ディノは真剣に考えてくれているのだが。

「俺は去年の記念日に彼女とピザパーティーしたんだけど、今年はブラッドもピザパーティーにするとかどうだ?」
「いやいやいや! ディノ、お前じゃねーんだからピザパーティーは有り得ねぇだろ」
「そうかな? いい案だと思ったんだけど……」
「とりあえずお前はピザから離れろ」

 記念日にふたりでピザパーティーとは、何ともディノとその彼女らしい。ピザにするかはともかく、パーティーはなかなか良さそうだ。ナマエと俺の好物やケーキを用意し、ふたりで記念日のパーティーをするのも悪くはないだろう。だが、せっかくなら形として残る物も渡したい。

「あー……ペアリングとかどうだ? 記念日のプレゼントには定番だろ」
「ペアリングか……」
「確か、リングの内側に名前とか日付けとかも刻印できるらしいぞ。まあ、ちっとばかし重いかもしれねぇけど」

 でもまぁ、せっかくの記念日ならそういうプレゼントも悪くはねぇだろ。
 そう言葉を続けたキースは相も変わらずビールを飲んでいるが、その助言は助かった。ペアリングはプレゼントの候補として考えてはいたのだが、他に相応しい物があるのではと決めかねていたから。だがようやく決まった。記念日に贈るプレゼントはペアリングにするとしよう。
 そういえば、結局ディノが望んでいたような話はしてやれなかったし、次の飲みの時にでも記念日の日の出来事を話してやった方がいいだろうか。ああでも、やはり心の中に秘めておきたい。

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