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「#エロ」のBL小説を読む
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さんかくドルチェ



 女の子は甘い物が好きだと、どこかで聞いたことがある。それは彼女も例外ではなく、お菓子を頬張っては幸せそうに笑っていた。オレはその笑顔が大好きで、ずっとずーっと笑っていて欲しいと思っている。けれど、最近の#name3#は笑顔が少なくて心配だった。

「ねぇねぇ、じゅーざ」
「何すか、三角さん」
「あのね、じゅーざに聞きたいことがあるんだ」

 首を傾げているじゅーざに美味しいケーキ屋さんを教えてとお願いすると、彼は快く教えてくれた。おすすめのお店の名前と場所だけでなく、そのお店で人気のケーキや甘さなんかも教えてくれたから、選ぶ時に役立ちそうだ。オレはじゅーざにお礼を言うと、さっそく寮を飛び出した。元気のない#name3#にケーキをプレゼントする為に。そして、教えてくれたじゅーざへのお土産を買う為にも。

***

 じゅーざに教えてもらったお店でケーキを買ったあと、一旦寮に戻って彼にお礼を渡したオレは、彼女の住む家へと向かっていた。オレがみんなと暮らしている寮のある天鵞絨から、電車で数駅先のアパートが彼女の家。特に連絡もしないまま来てしまったことに気付いたのは、インターホンを鳴らしてからだった。

「はーい……って、三角くん?」
「うん、オレだよ〜。#name3#、入ってもいい?」
「もちろん、どうぞ」

 突然オレが来たからびっくりしたみたいだけど、#name3#はオレを迎え入れてくれた。もう何回来たかわからない玄関に足を踏み入れて靴を脱ぎ、廊下を歩き進む。リビングに続くドアを開けながら今お茶を淹れるね、と言う彼女を引き止めて、オレは手に持っていたケーキ箱を差し出す。

「これ……ケーキ?」
「だいせいかーい! このお店、おいしいって評判なんだって〜! #name3#、知ってた?」
「聞いたことはあるけど、食べるのは初めてかな」
「オレも初めて〜。あ、ちゃんと#name3#の好きなショートケーキ、買ってきたよ!」

 オレも一緒に食べたくて、彼女の好きなショートケーキをふたつ買ってきた。白くてふわふわで甘いショートケーキを食べれば、きっと#name3#も笑顔になってくれると思いながら。

「でも、どうして急にケーキなんて……今日は誕生日でもないし、記念日でもないよ?」
「……#name3#、最近元気ないから。大好きなケーキを食べたら、笑顔になってくれるかな〜って思ったんだ」
「三角くん……」

 #name3#はケーキが入っている箱をテーブルに置くと、ぎゅっとオレに抱き着いてきた。小さな体を受け止めて、オレは彼女の頭をそっと撫でてあげた。

「ありがとう、三角くん」
「えへへ、どういたしまして」

 また#name3#の元気がなかったら、こうしてケーキを買って会いに来るね。頑張り屋さんのきみが、少しでも元気になれるように、笑ってくれるように。そう、願いながら。

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