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秘密のコイビト


※女主設定



 少女漫画でよくあるような放課後デートに憧れていた。だけど、わたしの恋人は元国民的アイドルという肩書きを持つ有名人なので、放課後デートはたぶん難しいだろうなと諦めていた。

「ごめんね、なまえ。お待たせ」
「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ」

 じゃあ行こうかとわたしの手を取った遥ちゃんは、どうやらわたしが放課後デートに憧れていることに気付いていたらしく。モモジャンの活動で忙しい中、スケジュールを調整してわたしのために時間を作ってくれた。私もなまえと放課後デートがしてみたかったからと、可愛い笑顔で。

「どこに行こうか? あ、前になまえが気になるって言ってたカフェはどうかな?」
「それは嬉しいけど……遥ちゃんは? どこか行きたいところとか、したいこととかある?」
「私は、こうやってなまえと一緒にいるだけで楽しいから。それにね、今日はなまえの行きたいところへ行くって決めてるんだ」

 最近は有り難いことにお仕事も忙しくなってきて、なかなかなまえと一緒にいられる時間を作れないから。だから今日は、なまえのしたいことを全部叶えてあげたくて。
 そう言葉を続けた遥ちゃんの表情は申し訳なさそうで。気にしなくていいんだよって伝えたくて、繋いでいる手に少しだけ力を込めた。

「わたしね、アイドルの遥ちゃんも、アイドルじゃない普通の女子高生の遥ちゃんも、大好きなの。わたしは好きで遥ちゃんの活動を応援しているし、優先してほしいって思ってる。だから、申し訳ないって思う必要はないんだよ」

 寂しくない、と言えば嘘になるけれど。遥ちゃんがわたしを好きなこと、大切に想ってくれていることは知っているから。

「……私、すごくなまえに愛されてるなぁ」
「そうだよ、遥ちゃんはすっごくわたしに愛されてるんだから!」
「ふふ、ありがとう。私も、好きだよ」

 繋がれている手がするりと解かれたと思ったら、指を絡めて再び繋がれた。所謂恋人繋ぎの状態に、これはさすがにまずいのではないかと内心慌てる。
 彼女はアイドルだ。わたしが友達以上の、恋人だとバレてしまったら大変なことになる。ましてやそれが女の子同士だとわかれば、遥ちゃんがどんな目で見られるかわからない。
 世間は、普通の枠から外れたものを受け入れてはくれないから。

「遥ちゃん、手……!」
「大丈夫。きっと、仲のいい友達同士が手を繋いでるくらいにしか思われないよ」

 解こうとした手は、更にぎゅっと強く握られてしまった。解くことが出来ない、けれど痛くはないそんな強さで。
 どうか、どうかバレませんように。そう願いながら、大好きな彼女との放課後デートを楽しむのだった。

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