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君色リフレイン



 これを渡したら彼女はどんな顔をするんだろうという期待と、喜んでもらえるかなというほんの少しの不安。そんな気持ちを抱きながら、後ろ手に持っていた物をなまえさんに差し出した。

「これを、わたしに?」
「はいッス。良かったら開けてみてください」

 開けるように促すと、彼女の手がラッピングのリボンをしゅるりと解いていく。ぱかっと箱の蓋を開けて中身を確認したなまえさんは、嬉しさを隠し切れないといった感じに勢い良く顔を上げた。

「鉄虎くん、ありがとう! このネックレス、すごく可愛い……!」
「へへっ。喜んでもらえたなら何よりッス!」

 喜ぶ彼女を可愛いなぁと見つめながら、心の中で相談に乗ってくれた先輩にとても感謝した。その人、鳴上先輩には後日また改めてお礼を伝えよう。
 元々は一人でなまえさんへのプレゼントを考えていたものの、こういうのには疎いから何にしたらいいのか悩んでしまって。このままだと永遠に決まらないんじゃ……と危惧した結果、いつもオシャレでセンスのいい鳴上先輩に相談しようと思ったのだ。事情を話したところ、先輩は快く、そして嬉々として俺の相談に乗ってくれた。そんな優しく頼もしい先輩のおかげで、無事に彼女へ渡すプレゼントも決まった。そして最後には「鉄虎クンが彼女のことを想って選んだんだもの。大丈夫、きっと喜んでもらえるわよ♪」と背中まで押してくれて。本当に、鳴上先輩には感謝しかない。

「さっそくなんだけど、つけてみてもいいかな?」
「もちろんッス! あ、俺がつけましょうか?」
「じゃあ、お願いしてもいい?」

 任せてくださいとネックレスを受け取り、つけやすいように彼女の背後へと回った。俺がネックレスをつけやすいようにか、なまえさんが自分の髪を一つに纏めてくれていて。無防備にも晒された項に心臓が跳ねた。白くとても綺麗なそれは俺の心臓に悪いので、早くつけてあげよう。さっきよりも速くなっているような鼓動から意識を逸らして、ネックレスの留め具を外した。

「……で、できたッスよ」

 そう声を掛けると、彼女はくるりとこちらを振り返った。視線がぱちりと合う。

「どう、かな? 似合ってる……?」
「めちゃくちゃ似合ってます! すごく可愛いッス!」

 鳴上先輩に相談に乗ってもらい、なまえさんの好みを思い出しながら選んだネックレスは、彼女にとてもよく似合っていた。

「ありがとう。大切にするね」

 嬉しそうに笑う彼女の胸元で、光に当たったネックレスの飾り部分がきらりと光る。
 きっと、なまえさんがそのネックレスを身につけているのを見る度に思い出すんだろう。期待と、ほんのちょっとの不安でドキドキしながら渡したこと。喜んでもらえたことに安堵して、嬉しくて。そうやってまた、大切な思い出になっていく。

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