あんスタ | ナノ
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愛と感謝を詰め込んで



 先月チョコレートを貰ったお返しにと彼女に選んだのは、可愛らしいアイシングが施されたクッキーの詰め合わせ。クッキーはもちろんのこと、それが入っている缶のデザインも可愛かったのでこれを選んだ。

(喜んでもらえるでござろうか……)

 優しいなまえ殿のことだから、拙者が何を選んだとしてもきっと受け取ってくれるだろう。他のお菓子や、それこそお菓子じゃなかったとしても受け取ってくれるはず。だけど、お返しを渡すならやっぱり喜んでほしい。先月チョコレートを貰った時の拙者がそうだったように、嬉しくて幸せな気持ちになってほしいと、そう思っているから。

「なまえ殿、少しいいでござるか?」
「うん、大丈夫だよ。どうかした?」
「実はその、先月のお返しを用意したので、受け取ってもらいたく……!」

 息を吸って、吐いて。小さく深呼吸をしたあと、後ろ手に隠していたそれを彼女に差し出した。

「ありがとう、忍くん。開けてみてもいいかな?」
「もちろんでござるよ!」

 受け取ってくれた彼女の手がラッピングを解いて、デザインが可愛いねと嬉しそうに缶の蓋も開けていく。そして中に入っていたアイシングクッキーを見て、クッキーもすごく可愛いと笑ってくれた。

「可愛くて食べるのが勿体ないなぁ……」
「その気持ちはよくわかるでござるが、これはクッキー故にちゃんと食べてほしいでござるよ」
「はーい。あ、せっかくだから忍くんも一緒に食べない?」
「へ? 拙者もでござるか?」

 小さいのを一枚だけならご飯が食べられないかもって心配をしなくてもいいだろうし、二人で食べた方が美味しいから。そう言って微笑んだなまえ殿は、お供の紅茶でも淹れて来るねとソファから立ち上がり、キッチンへと向かった。

「……やっぱり、これにしてよかったでござるな」

 渡すまでは喜んでくれるだろうかと不安もあったけれど、彼女の反応を見るにこのアイシングクッキーを選んで正解だったようで。内心ホッとしていると、ふわふわと漂ってきた紅茶の香りが鼻腔をくすぐった。

「お待たせ。紅茶淹れて来たよ」
「ありがとうでござる!」

 なまえ殿が手渡してくれたカップを受け取ると、彼女は先程まで座っていた拙者の隣に腰を下ろした。

「それじゃあ、ちょっとしたティータイムといこうか」
「で、ござるな♪」

 こうして、ふたりだけの小さなティータイムが始まった。この後の晩ご飯が食べられるよう、クッキーの食べ過ぎには注意しながら。

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