3

「ユーリ」

「マリアか」

少し離れた場所で姿を見せてユーリに話しかけた。

「キュモールを手にかけたのですね」

「ああ」

「フレンの話を聞いてしまいました」

私はユーリの背中から抱き締める。

「フレンが言うのも解るし、ユーリの言うことも解ります。やはり人の価値観なんでしょう。…でも私はユーリのやり方が間違いなんて思えません。私達派遣騎士だって裏では人を殺めていますから」

「オレは大丈夫だ。腹はくくってるからな」

「ユーリ」

「不安定でいるなら止めろ。…マリアはもう色々頑張ったろ」

気持ちが不安定なのを解っていたかのように諭すユーリ。

「いいえ。私は最後まで成し遂げます。ナイレン隊長に言われましたから」

「隊長…か」

ユーリは隊長から貰った魔導器を眺める。

あの頃とは色々変わってしまった。

「ユーリに会えて良かったです。スッキリしました。…私はこれからまた行きますね」

「無理すんなよ」

「ええ。ユーリも程ほどに」

抱き締めていた腕を緩め、私はユーリから離れた。

私達に遠慮して離れていたショコラを引き連れて、私は夜のうちにマンタイクを出る。

そして向かうはノードポリカ。

そこで大々的な作戦があるというので、それを見届けるために。

新月…その日に衝撃的なことが起きる。


 


[ 75/91 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -