3
「ユーリ」
「マリアか」
少し離れた場所で姿を見せてユーリに話しかけた。
「キュモールを手にかけたのですね」
「ああ」
「フレンの話を聞いてしまいました」
私はユーリの背中から抱き締める。
「フレンが言うのも解るし、ユーリの言うことも解ります。やはり人の価値観なんでしょう。…でも私はユーリのやり方が間違いなんて思えません。私達派遣騎士だって裏では人を殺めていますから」
「オレは大丈夫だ。腹はくくってるからな」
「ユーリ」
「不安定でいるなら止めろ。…マリアはもう色々頑張ったろ」
気持ちが不安定なのを解っていたかのように諭すユーリ。
「いいえ。私は最後まで成し遂げます。ナイレン隊長に言われましたから」
「隊長…か」
ユーリは隊長から貰った魔導器を眺める。
あの頃とは色々変わってしまった。
「ユーリに会えて良かったです。スッキリしました。…私はこれからまた行きますね」
「無理すんなよ」
「ええ。ユーリも程ほどに」
抱き締めていた腕を緩め、私はユーリから離れた。
私達に遠慮して離れていたショコラを引き連れて、私は夜のうちにマンタイクを出る。
そして向かうはノードポリカ。
そこで大々的な作戦があるというので、それを見届けるために。
新月…その日に衝撃的なことが起きる。
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