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泉にはフレンとユーリが座り込んでいた。
「…なぜ、キュモールを殺した。人が人を裁くなど許されない。法によって裁くべきなんだ!」
「なら、法はキュモールを裁けたっていうのか!?ラゴウを裁けなかった法が?冗談言うな」
「ユーリ、君は…」
「いつだって、法は権力を握るやつの味方じゃねえか」
「だからといって、個人の感覚で善悪を決め人が人を裁いていいはずがない!法が間違っているなら、まず法を正すのが大切だ。そのために、僕は、今も騎士団にいるんだぞ!」
「あいつらが今死んで救われたやつがいるのも事実だ。おまえは助かった命に、いつか法を正すから、今は我慢して死ねって言うのか!」
「そうは言わない!」
「いるんだよ、世の中には。死ぬまで人を傷つける悪党が。そんな悪党に、弱い連中は一方的に虐げられるだけだ。下町の連中がそうだったろ」
「それでもユーリのやり方は間違っている。そうやって、君の価値観だけで、悪人すべてを裁くつもりか。それはもう罪人の行いだ」
「わかってるさ。わかった上で、選んだ。人殺しは罪だ」
「わかっていながら、君は手を汚す道を選ぶのか」
「選ぶんじゃねえ。もう選んだんだよ」
「それが君のやり方か」
「腹を決めた、と言ったよな」
「ああ、でも、その意味を正しく理解できていなかったみたいだ…。騎士として、君の罪を見過ごすことはできない」
長い会話はそこで終わり、フレンが剣に手をかけた時、副官のソディアが来てその行動は止まった。
そしてユーリがその場から去るのを見て、私は彼を追った。
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