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ユーリ達が砂漠に向かってから二日、この街でも動きがあった。
キュモールが再び住人を砂漠に連れだそうとしていたのだ。
しかしそれは馬車が独りでに壊れたことで延期になり、住人たちは救われた。
それからすぐにアルフとライラの両親が帰ってきて、ユーリ達に救われたという。
「子供たちをありがとうございました」
「いいえ、私はただ一緒にいただけですから」
「もう何処にもいかない?お母さん、お父さん」
「ああ」
この人たちの笑顔を曇らせたキュモールが許せない。
いや、一番の原因であるアレクセイが許せない。
人々を護るための騎士団がこんなことをするなんて。
私はキュモールがしてきたこと、アレクセイとの関与の証拠を手にしていた。
私の行動は、すべて彼を裁くために。
*
夜になり、外へ出ていると、騒ぎ声が聞こえてきた。
どうやらフレン隊が来てキュモール隊を制圧したらしい。
外では解放された住人が喜びで騒いでいた。
「あ、マリア!まだ居たんだ!」
「カロルとリタ?一緒に騒いでいるんですね」
「そういえば、マリアはキュモールがどこに行ったか知ってる?」
「いえ、キュモールは逃げたのですか?」
「行方不明みたいよ」
騎士だから知ってるかと思い聞いたようだけど、残念だけど知らない。
けど心当たりはあるつもりだ。
きっと、ラゴウのようにユーリが…。
そう考えたら無性にユーリに会いたくなった。
カロル達の話によるとフレンに会いに行ったというので、私は二人がいそうな泉に向かった。
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