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パティはカドスの喉笛で自分が捜している癒しの星を捜すと言って残った。
パティがアイフリード…と思っている人と会うために必要なその宝物を。
なので私は一足先にマンタイクに向かうのだった。
*
マンタイクにつくと、街は騎士で埋め尽くされ、住人は一人として外にはいなかった。
「マリア」
「あ、ルカ。情報ありがとうございます。ここにキュモールがいるのですか?」
「ああ。執政官をしていて、現在住人は外出禁止令が出されている。それと、無理矢理馬車にのせ砂漠に連れて行っている」
「何故砂漠に?」
「なんでもフェローの調査をさせるためらしい。住人に翼のある巨大な魔物の死骸を持ってこいと」
ルカとは同じ派遣騎士の一人で、騎士に紛れて街に潜伏していた。
彼から連絡を受けて私はマンタイクにいる。
「砂漠に連れていかれた住人は大丈夫でしょうか」
「仲間が一緒に着いて行ったから死にはしないだろう。オレもこれから行くからマリアに頼みがある」
「なんですか?」
「連れていかれた住人の中に、夫婦がいて子どもだけがマンタイクにいる。着いててやって欲しい」
「そうですね。解りました」
他の騎士がこちらに向かってくるのに気がついて用件だけを聞き、その場から離れる。
…しかし、アレクセイはキュモールを使い自分の命令だと思わせないようにしているらしいけど、派遣騎士がそんなことで真実を見失うわけがない。
現に右腕の彼からも情報を貰っているわけなのだから。
「お姉ちゃん、だれ?」
「はじめまして、マリアといいます。お母さん達が帰ってくるまで、一緒にいますからね」
「いっしょに?」
「はい」
小さな二つの手を優しく握り締めた。
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