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フレンは止められなかったことを悔いたのか、拳を握った。

「フレン。ユーリがついているから大丈夫ですよ」

「ですが…!…今旅をするのは駄目なんです」

「そうですね。色々な感情が渦巻いてますから。けど、それを言っても彼女は聞きはしませんよ。頑固みたいですから」

「…マリア先輩」

「フレン隊長!鎮圧完了しました!」

フレンの副官であるソディアが報告をしに来た。

「わかった。では、虐げられていた住人の解放、怪我の治療を進めてくれ。終わったらすぐにノードポリカに向う」

「はい!」

「ノードポリカにフレンが向かうのですか?」

エステル達がフェローに会うためにデズエール大陸に向かうことを知っていて向うのかと思えば、そうは思えない言い方。

他に理由があるらしい。

「はい。アレクセイ閣下から任務を受けて、聖核を捜しているんです。ノードポリカには人魔戦争の首謀者もいるというので、これから大々的な作戦をする予定ですから」

「…聖核。フレンは聖核がどうやって出来ているものか知っているのですか?」

「いえ、そこまでは。命令に従うまでです」

「フレン…、ナイレン隊長の言葉を忘れたのですか?」

彼は命令に忠実になっている。

疑問を抱いていない。

何故アレクセイがそんな聖核を必要にしているのか、考えていない。

『フレン。皆を頼む。おまえはいい騎士になれ。親父さんを越えろ』

命令に忠実になるのがフレンのいい騎士なの?

確かに民の事を考えて行動している今のフレンはいい騎士といえるだろう。

「フレン、気づいてください」

「マリア先輩?」

大きな間違いになる前に…。

私はその場をフレンに任せてヘリオードを出た。

目指すは、ノードポリカ。


 


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