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ヒスカとシャスティルからの連絡でヘリオードで住人が行方不明になる事件が過激になってきたと聞き、騎士の格好から普段着に変えてから潜伏する。
昇降機の下に潜り込むと、騎士が住人に暴力をふるい仕事を強制していた。
「キリキリ働け!」
「キュモール様のお言いつけを守れ!」
「……キュモール、ですか。面倒な男が出てきましたね」
仮設テントに隠れ会話を聞いていると、聞きたくない名前が聞こえてきた。
キュモール、彼は自分の地位を気に入らず騎士団団長を狙う男。
だからその為には横暴な手段に出る最低な男だ。
「これはなんとかしたいですが、私一人の力では…」
「何やってんだ?」
「なんだ?貴様も反抗する気か!?」
「こちとら、そんなに聞き分けがよくなくてね」
様子を伺っていると、昇降機から降りてきたユーリ一行が住人を痛め付けていた騎士を倒した。
そして住人は昇降機で上へと帰っていった。
「ユーリ達も来てたんですね」
「あ、マリア。居なくなっていたから心配しましたよ」
「あら、どちら様?」
エステルが私を心配してくれていたのに謝ると、際どい格好をした女性が仲間にいるのに気づいた。
「私はマリアと言います。ユーリの知り合いですよ。あなたは?」
「私はジュディス。凛々の明星の一員よ」
「凛々の明星…?」
ユーリの話を聞くと、彼はカロルとギルドを作り活動することになったらしい。
そして今はエステルの護衛の仕事を受けていて、フェローという魔物を捜しているとか。
「そうですか。ではその道すがらにここに寄って人探しの依頼を受けた…と」
「そうだ。しっかし、ここの連中は何の仕事をしてんだ?住人にあんな無理な労働させて」
「なんでも、ダングレスト進行のための軍事基地を建設しているらしいです。貴族の街を作ると触れ込みながら、住人を脅して」
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