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ラゴウの体は橋から落ち、川に飲み込まれ消えていった。

「マリア、いるんだろ。出てこいよ」

「…気づいていたんですか」

「ああ。マリアがしようとしてたこともな」

私はユーリには派遣騎士をしているだけしか言っていない。

罪人を自ら裁くことなんて言っていないはずなのに…。

「解るさ。ラゴウを見ながら手を剣から離さなかったのを見てりゃあ、何をしようとしてるか」

「…ユーリ」

「解ってたんだろ。ラゴウが権力を使い刑を軽くすんの」

「ユーリは、私の代わりにラゴウを斬ったのですか?」

ユーリはラゴウを斬った剣と手を見ながら違うと答えた。

「…まさか。オレはあいつが許せなかったから斬った。ただそれだけだ」

「罪人に自らなるんですか」

「覚悟は出来てる」

ユーリは昔から変わっていない。

自らが手を汚しても護りたい者のために剣を振るう。

ランバートやガリスタの時も、その手で…。

「そうですか。…なら、私も覚悟を決めました」

「何の…」

「あなたとその罪を背負う覚悟、です。私にも背負わせて下さい。あなたの罪を」

それが、口にはしないけど私のために手を染めた、あなたに出来ること。

「マリア」

「あなたに一人で背負わせません。…駄目ですか?」

「駄目っても、聞かねぇんだろ」

「はい。では、これから共犯ですね。…ラピードとショコラも一緒に」

橋が見える場所にはラピードとショコラがこちらを見ていた。

「ラピード…」

ユーリはラピード達がいたことに気付かなかったのか、驚いていたが何も言わないのは信頼しているからなんだろう。

いいパートナーになったみたいですね、ラピードとユーリは。

それから闇が開ける前に私達は別れた。

私達は離れていても心は一つ。

そう互いに解っているから。


 


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