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「さて…どうしましょうか…」
ダングレストに来たのはいいけど、紅の絆傭兵団を調べようとアジトである酒場に向かうと見張りがいて近寄れない。
「おまえは、ナイレン隊にいた…」
「え?あ、メルゾム!!ちょうど良かった。頼みたいことがあるんです」
ダングレストをウロウロとしていると、聞いたことがある声に振り替えると、シゾンタニアにいたギルドのメルゾムだった。
「何事だ」
「紅の絆傭兵団のアジトに入りたいのです。あの地下水道を使いたいからドン・ホワイトホースに連絡をつけて下さい」
「…用件を話せ。そしたら連絡つけてやる」
「ええ、実は…」
*
話を聞き元から紅の絆傭兵団を快く思っていなかったというメルゾムは、すぐにドンに内容を伝えて地下水道に入ることが出来た。
地下水道の中は光などなく、暗闇に包まれていて手元の光照魔導器がなければ先には進めそうにない。
「俺はここまでだ。精々頑張るんだな」
「ありがとうございます。メルゾム」
「いいってことよ!」
そのままメルゾムは酒場に戻っていき、私は前を向きなおした。
「さぁ、いきましょう。ショコラ」
「ワン!!」
慎重に進んでいき、たまに光照魔導器を補充などをしながら歩いていると、細い道が開けた場所に出た。
「ここは…」
前に見える壁面に文字が刻まれているのを見つけて目を凝らして読もうとすると、後ろから無数の足音が聞こえてきた。
紅の絆傭兵団に見つかったのだと思い、剣を構えてジッと足音のする方角を睨み付ける。
「ワン、ワン!!」
「あ、ショコラ…!?」
ショコラは威嚇をするでも無しに嬉々として足音の方へと走っていく。
いきなりどうしたのかと止めに入ろうとすると、足音の方からも走ってくる影。
「ワン!!」
「…ラピード…?」
それは4年前に別れたラピードだった。
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