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硬直状態になっていると、橋から歩いてくる見慣れた姿を見つけた。
彼女はそのまま門を潜ろうとすると、傭兵に首根っこを捕まれた。
「あう」
「何入ろうとしてんだ、このガキ」
「まあまあ、これでも食って落ち着け」
そう言いながら取り出したおでんを差し出す。
「いらねぇよ。ガキが来るところじゃねぇんだ、ここは」
傭兵は彼女を投げ飛ばすと、後方にいた誰かにキャッチされていた。
その姿にまた見覚えがあった。
4年ぶりに見る彼は少し大人になり、久しぶりに胸が高鳴った。
「ユーリ…?」
「子ども一人にずいぶん乱暴的な扱いだな」
「なんだ、おまえは。そのガキの親父か何かか?」
「オレがこんな大きな子どもの親に見えるってか?嘘だろ」
どうやらユーリには私の姿が見えないようで、そのまま会話が続く。
「再チャレンジなのじゃ」
屋敷に走って向かう彼女に傭兵は剣を突きつけて止める。
「あう」
「おいおい。丸腰の子ども相手に武器向けんのか」
「ガキにこれが大人のルールだってことを教えてやるだけだよ」
「やめとけって…」
私も止めに入ろうとすると彼女・パティと目が合った。
「えいっ!」
パティが地面に目眩まし弾を叩きつけ、周りは黄色の煙で充満した。
混乱している傭兵たちと秘書から知られず離れて屋敷の方を見る。
「今なら屋敷に行けますね」
「ワン」
パティがユーリに捕まっているのを横目で見ながら私は駆け出す。
「さらばなのじゃ、マリア、行くぞ」
「…っ、マリア?待て!」
煙で見えない中声だけが聞こえ、止まりそうになる。
けど今は止まる訳には行かない。
また、後で会いましょう…ユーリ。
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