2

硬直状態になっていると、橋から歩いてくる見慣れた姿を見つけた。

彼女はそのまま門を潜ろうとすると、傭兵に首根っこを捕まれた。

「あう」

「何入ろうとしてんだ、このガキ」

「まあまあ、これでも食って落ち着け」

そう言いながら取り出したおでんを差し出す。

「いらねぇよ。ガキが来るところじゃねぇんだ、ここは」

傭兵は彼女を投げ飛ばすと、後方にいた誰かにキャッチされていた。

その姿にまた見覚えがあった。

4年ぶりに見る彼は少し大人になり、久しぶりに胸が高鳴った。

「ユーリ…?」

「子ども一人にずいぶん乱暴的な扱いだな」

「なんだ、おまえは。そのガキの親父か何かか?」

「オレがこんな大きな子どもの親に見えるってか?嘘だろ」

どうやらユーリには私の姿が見えないようで、そのまま会話が続く。

「再チャレンジなのじゃ」

屋敷に走って向かう彼女に傭兵は剣を突きつけて止める。

「あう」

「おいおい。丸腰の子ども相手に武器向けんのか」

「ガキにこれが大人のルールだってことを教えてやるだけだよ」

「やめとけって…」

私も止めに入ろうとすると彼女・パティと目が合った。

「えいっ!」

パティが地面に目眩まし弾を叩きつけ、周りは黄色の煙で充満した。

混乱している傭兵たちと秘書から知られず離れて屋敷の方を見る。

「今なら屋敷に行けますね」

「ワン」

パティがユーリに捕まっているのを横目で見ながら私は駆け出す。

「さらばなのじゃ、マリア、行くぞ」

「…っ、マリア?待て!」

煙で見えない中声だけが聞こえ、止まりそうになる。

けど今は止まる訳には行かない。

また、後で会いましょう…ユーリ。



 


[ 46/91 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -