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あの忌まわしい事件の後、結界魔導器があの爆発の衝撃により機能しなくなったことで帝国はシゾンタニアを放棄する決定を下した。

だから街の人達は引っ越しの準備で大忙し。

この数ヵ月でなにもかもが変わってしまった。

変わったといえば、ユーリは騎士団を抜ける決意をしたらしい。

隊長がいない騎士団なんかに居られないと言うのがユーリらしいと思う。

そしてまだ騎士団に登録されていないラピードもユーリについていくようだ。

ナイレン隊長が持っていたキセルを加えてユーリの隣にいる。

「もう、行くんですか?」

「ああ。早い方がいいと思ってな」

ユーリの部屋に行くと、私服のユーリと鉢合わせた。

「…ユーリは、騎士の服よりその服の方が似合いますね」

「はいはい。どうせ騎士のカッコなんて似合いませんでしたよ」

「ふふ、その服の方がユーリらしいって意味ですよ」

「…良かったのか?騎士団に残って」

私はユーリが傍にいてくれるというのを断った。

やらなければならないことがあるのだと。

「頑張るって決めましたから」

「そっか」

「…ユーリ。餞別にこれを差し上げます」

小さな小箱をユーリに渡すと、不思議な顔をしながら中身をみるユーリ。

「これ…!」

中には私のピアスの対のピアス。

前にユーリに話したことがある代物だ。

「持っていて下さい。再び出会えるように…」

「オレで、いいのかよ」

「…ユーリがしてくれた約束は、後でも有効、ですか?」

「…は」

「全てを片付けたら、私の傍にずっと、居てくれますか?」

顔を真っ赤にして告白をする。

まさか、こんなことを私が言うときが来るなんて思わなかった。

「それは、つまり…?」

「ユーリが、好き。ということです」



 


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