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「フレン。皆を頼む。おまえはいい騎士になれ。親父さんを越えろ」

フレンはその言葉に戸惑いを隠せないでいた。

「マリア」

「…ナイレン、隊長…」

ナイレン隊長に呼ばれて近寄れば、ナイレン隊長は穏やかな顔をしていた。

「約束守れないみたいだ、すまん」

「ナイレン、おじ様…」

両親が亡くなった時に泣き続けていた私に約束してくれたことをまだ覚えててくれてたの?

『俺がマリアと一緒に居てやる!だから泣くな』

貴方はそう言って頭を撫でてくれた…。

「…嫌だ。約束してくれたのに、破らないで!両親と同じようにおじ様まで私を置いて逝かないで!!」

「…すまんな」

「これから、私はどうすればいいんですか!…大切な人を守れないで、私は…」

「マリアはマリアの信じる道を行け。悩んで見つけろ。俺が最後に言えんのはそれだけだ」

「おじ様…!!」

駆け出しそうになる私をユーリが引き留める。

「嫌だ!隊長!隊長ー!!」

「行け」

天井が崩れていくのを成す術もなく見ることしか私たちには出来なかった。

「いやぁぁぁぁぁ!!」

ナイレン隊長は瓦礫と共に姿を消した。







その後はよく覚えていない。

ユーリに支えられたまま崩れる遺跡から脱出して、いつの間にか遺跡の見える場所に皆でいた。

「お…気がついたか」

気絶したシャスティルが目を覚まして当たりを見渡す。

「あれ?隊長は?」

シャスティルはヒスカの泣きはらした目を見てフレンに聞く。

「フレン!隊長どこ!?」

フレンはなにも答えずに顔を反らす。

その手には隊長の剣が握られていた。

「…、ユーリ…」

「隊長、カッコよかったぜ」

そのユーリの言葉に、皆が深い悲しみにくれる。
「うわぁぁぁ!」

いなくなってしまった隊長。

街の人達を命がけで救ったのだと思っても、その死を受け止めるにはまだまだ時間がかかりそうだった。


 

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