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早くに抜け出していたエルヴィンがユーリに声をかける。
「ユーリ!お前を上まで投げる!」
デヴィットは自らの長身と力を生かし、ユーリを上まで投げるという。
「来い!!」
「…っ!!」
位置についたデヴィットの合図にユーリは走り出し、出された手に足を掛けて高く上げられた。
ユーリはゴーレムの頭に着地し、赤い筋を全て切り捨てる。
「でやぁ!!」
ゴーレムの体は赤い筋の支配が無くなったことで、崩れ落ちる。
当りは砂煙に包まれ、ユーリが無事なのかを確かめることが出来なくなった。
「ユーリーー!!」
悲痛な叫びが木霊する中、収まった砂煙の中からユーリの姿を見つけて皆が安堵する。
「良かった…ユーリ」
「怪我、ねぇな」
「ああ」
ゴーレムの残骸を踏み越えると、さっきの衝撃で壊れた壁の向こうが見えた。
そこには異様な機械がエアルを吸い上げている光景だった。
「こいつでエアルを吸い上げて魔核の変わりにしてるのか」
その機械のある部分を見て、これが誰の仕業かが明白になった。
…彼の使う魔核にそっくりじゃないか。
「ナイレン隊長。これは…」
「ああ…」
「随分と大掛かりな仕掛けだな」
メルゾムとギルドが到着したみたいだけど、彼らの仲間が一人犠牲になったようだ。
「誰がこんなもの…」
「詮索は後だ。こいつでエアルの流れを遮断する」
持っていた鞄からナイレン隊長がある魔導器を取り出して抑制術式をすませてから床におく。
するとそれは勝手に動き出し、四足歩行で立った。
「なんだ?これ」
「なんだ?これ」
ユーリとナイレン隊長が同じように驚いている間にも魔導器は動き出し、エアルを吸い上げている機械の元へ移動してその体でエアルの流れを遮断した。
「…あの魔導器、凄いですね」
機械が完全に止まるのを確認した。
「止まった!」
喜ぶのもつかの間、機械が光だし爆発した。
近くにいた私達は爆風で吹き飛ばされる。
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