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そして暴走を始める魔導器に、隊長は術式の紙を近づけるとエアルは拡散して暴走は止まった。
「エアルの影響だ」
「魔導器が使えないんですか?!」
「で、こいつを使う。エアルの過剰な反応を抑える術式だ。マリアのお陰で人数分は複製出来た。ただし長くは持たねぇ。いざと言うときに使え」
たしかに複製に協力はしたけれど、その術式が何のための物か聞いてなかったんですけど…。
「魔導器が暴走することを、知っていたんですか?」
「ああ!だから急を要すると言った。街の結界魔導器を暴走させるわけにはいかん。進むぞー」
「ってか、なんでここで言う?」
「出発前に準備させてよね!」
「悪ぃ。忘れてた」
そう言ったナイレン隊長は、まるで悪戯が成功して喜んでいる顔だった。
「「はぁぁぁぁ!?」」
双子の怒りから回りの騎士全員が各々呆れたり怒ったり、隊長に罵声を飛ばしていた。
「信じられない!なんなのよ、あのオヤジ!!」
「はぁ…本当に、大事なことを事前に言わないのはちょっと駄目ですね」
「マリア。ちょっとじゃなくて、ダメダメよ!ああ〜、もう!!」
「うるせぇ!黙れおまえら!」
ここまで来たから仕方がないと、渋々だけど隊長の後を追う皆でした。
*
「魔物が出てこねぇと思ったら、こんなことになってんのか」
川沿いを進んでいくと、沼の中に白骨になった魔物の姿があった。
思っていた以上に深刻な状態なのかもしれない。
「ねえ、これやばいんじゃない?」
「あたしらもああなっちゃうの?」
「用心しろ!何が起こるか解らん」
そう身構えていた矢先だった。
進んでいると、デヴィットが沼に引きづり困れてしまった。
沼でもがくデヴィットの体には水で出来た触手が巻き付いている。
「フローズンアロー!!」
隊長は魔導器を使おうとしていたユルギスを止めて、ボウガン隊に指示をする。
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