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ユーリとフレンを連れてナイレン隊長の元へ行くと、そこには呆れた顔のナイレン隊長とその横にガリスタが立っていた。
「おまえら、何度そこに立たされんだよ。ちょっと風呂に入ってこい。話はそれから」
「んな呑気なことしてる場合じゃねえ!早くなんとかしねえと」
「すぐには無理だ。式典後じゃないと援軍は出せないそうです。現場を保持せよとの命令です。後ほど書類をお持ちします」
そこでフレンは初めて援軍は出せないとナイレン隊長に報告する。
「そうか。ごくろう」
「おまえ、ちゃんと状況の説明はしたのか!」
「したよ!でも、これが本部の決定なんだ!」
「式典の後なんて悠長なこと言ってる場合か!」
「僕だって言ったよ!でも本部にとって優先されるのはこっちじゃないんだ、仕方がないだろ!」
「人が死んでんだぞ!?」
「僕の努力が足りないって言うのか!?」
「もうやめろ」
段々エスカレートしていく言葉を、ナイレン隊長が止める。
「フレン、やな役回りさせちまったな。配慮が足りなかった。すまん」
「隊長!」
フレンを庇う態度が勘に触ったのか、隊長に噛みつくユーリ。
「事態はさらに悪化している。これ以上魔物が押し寄せて来たら街を守れん」
「……」
「明日、遺跡の調査に向かう」
その言葉にその場にいた一人一人が違う反応を示す。
ガリスタは驚き、フレンは怒り、ユーリは嬉しそうだった。
「無茶です!強行すれば犠牲者が出ます!本部の命令に背いては…!」
「フレン…?」
ナイレン隊長やユーリはその理由を知っているみたいだった。
「親父さんのことか」
「…父は、あの人は命令を無視しました。本部は攻撃を制止したのに」
「あん時だって下町の人が死んだんだ。おまえや街の人を守る為だろ」
「父は、命令違反をして死にました!後にはなにも残りませんでした。私は父と同じ過ちを犯したくないんです」
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