5

コンコン

「はい…」

こんな夜中に誰が来たのかなんてすぐにわかるものだ。

私はすぐにドアを開けて招き入れた。

「マリア。話は聞いた。辛かったな」

「隊長…」

「こんな時でなんだが、話を聞いてくれるか」

私が頷くと、ナイレン隊長は小さな紙を私に渡してきた。

「…ガリスタが不審な行動をしている。気を付けろ…メルゾム…。これは…」

「あいつの部下が親衛隊と隠れて会っているのを見たらしい。親衛隊が出てくるから繋がりがあると思ってな。調べてんだろ、騎士団長のこと」

「…ええ、でも…」

「なんか面倒なこと考えてんじゃねえだろうな。そんなこと考えずに信じたもんを貫き通せばいい。俺みたいにな」

頭を撫でられナイレン隊長の言葉が心に染みていく。

「貫き通す…そうですね。ありがとうございます」

「話は終りだ。早く休めよ」

「はい。おやすみなさい」

ナイレン隊長を見送り、私はベットに横になる。

まだまだ問題が残っているから、この話は後にしよう。







「ウォォォォン」

ドカッ
バキッ

「ラピード…?」

お昼になった時、犬舎でラピードの遠吠えを聞いてその場に向かうと、お互いに組敷きながら殴り合うユーリとフレン。

「ユーリ!フレン!なにをしてるんですか!止めなさい!!」

すぐに仲裁に入る。
収まりきらない怒りを感じるけれど、私が間に入ったことで少しは頭が冷えたらしい。

「問題を起こしましたから、ナイレン隊長の元へ行きましょう。さぁ立って」

「…はい」

「っち。わかったよ」

どちらにも言い分はあるのだろう。

昨日のことでユーリは苛ついていたし、こんなにも早く帰ってきたフレンのことだから援軍は断られたと思っていいだろう。

話せばわかることなのに、彼らが真に歩み合うまでにはまだ時間がかかるらしい。



 


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