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籠手でなんとかランバートの牙から逃れることは出来たけど、これがいつまで持つか分からない。

「うぁ…!!」

「マリア!!」

「ランバート!止めて!ランバート!!」

すぐにエルヴィンとユルギスが助けに入ってくれたけど、こちらはやられる一方。

どうしても本気でランバート達を斬ることが出来ないのだ。

「ランバーーート!!」

その時、ユーリの声が森に響き渡った。

ユーリは剣を構えると、触手に取り込まれたランバート達に向かい駆ける。

ランバートもユーリに向かい襲い掛かる。

…それはまさに一瞬だった。

ユーリは皆の為に、ランバート達を斬ったのだ。

斬りかかる瞬間、歪んだ顔を私は忘れないだろう。

“ランバート…ごめん…”

ユーリの心の声が聞こえた気がした。







後始末を終えた時にはもう夜になっていて、皆は気丈に振る舞ってはいたが被害のでかさに皆沈んでいた。

「…ユーリは?」

「ユーリなら一足先に戻ったはずだ。マリアももう休め、疲れただろ」

「…ごめんなさい。お言葉に甘えさせていただきます」

私は重たい足を引きずり宿舎に向かう。

その途中、雨が降りだし体を濡らす。

ユーリはどうしているだろう。

私達の変わりにランバート達を手にかけたユーリは、ひどく悲しんでいるのだろうか。

まるでこの雨は泣くことが出来ないユーリの為に、空が流した涙みたいだと私は思った。

「クーン」

「ショコラ…、私は、誰も助けることが出来ないのでしょうか…」

仲間を助けられない私に、父の意思を継いで世界の人を助けることが出来るのだろうか。

この時、初めて決心が揺らいだ。



 


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