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「通常エアルは緑色ですが、異常な濃さになると赤く変色するらしいんです」
「木が枯れたのも、生き物が凶暴化したんのも、このエアルが原因か」
「そう…むぐ…」
メルゾムが聞いてくると、ユルギスは私の口を塞ぎ、自らも口を閉ざした。
「おい!」
「…我々はそう考えている」
「ったく!今更隠してどうなるってんだ」
ガサガサ
「うわぁ…!」
草むらを這うような音が聞こえたと思ったら、ギルドの一人が何かに引きずられていく。
「うわ、わわ、親分〜〜!!うわぁ…!!」
グシャ
引きずられた途中で鈍い音と共に血しぶきが舞うのを見た。
「やろぅ…!!」
「メルゾム!」
「待って下さい、ユーリ!」
こちらの止める言葉を無視して奥に進むユーリ。
「あいつはもう!」
「警戒しろ!」
武器を構えて私達も追いかけた先の奥の茂みに、ランバートの姿を見つける。
「ランバート!」
「待て、ユーリ!」
近寄ろうとしたユーリをメルゾムが止めて、持っていた武器を構える。
様子が可笑しい…?
よく見るとランバートの口の周りには血がついていて、次に出てきたのはあの赤い触手がランバート、アルゴス、ジョーンを取り込んでいる姿だった。
「そんな…」
驚いている間に触手は襲い掛かり、ギルドの一人を宙へと拐っていく。
そして、悲痛な叫びと共に大量の血が私達に降り注ぐ。
それは紛れもなく、先ほど宙に連れていかれた人の血だった。
「あ…ああ…」
全身が血塗れ、呆然としてしまう。
「あ…いやあああああ!!」
すぐにそれに耐えられなくなったヒスカが叫び声を上げる。
すると触手はユーリに向いていた牙の向きを変えてヒスカに襲いかかろうとする。
「ヒスカ!!」
私はすぐにヒスカを突き飛ばし庇い、ヒスカに向かう筈だった衝撃が私を襲う。
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