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移動している商隊には女性や子供もいて、賑やか雰囲気だった。
しかし、それはすぐに無くなることになる。
もう少しで街という所で、前方の馬車が止まった。
「うわぁ!魔物が!!」
それからすぐに悲鳴が聞こえ、私はすぐに剣を抜いてその場に向かう。
「大丈夫ですか!」
「た、助けてくれ…!」
まるでこの場を埋め尽くさんとするかのように沢山の魔物が出てくる。
その魔物全ては不気味に光る赤い目をしていた。
「ここは私が抑えます!皆さんは街へ!街なら結界で守られています!」
「マリア!!」
「ユルギス副隊長!エルヴィン!」
街の巡回をしていた二人が駆け付けてきて、商隊の人達の避難を手伝ってくれた。
「きゃああああ!!」
「うわぁぁ!!」
ガシャン
「…っ!!…なに、あれは…」
森から出てきた赤い触手が襲いかかる。
馬車はなぎ倒され、その間に人が犠牲になる。
「この…っ!!」
魔物を斬り倒しながら、あの触手に魔術を打ち込む。
しかしすぐに交わされ、こっちに向かってくる。
「きゃあ…!」
「マリア!こいつ…!!」
「アレには構うな、避難を優先する!街には近づけないはずだ!」
倒れている人に手を貸しながら、街へと連れていく。
途中、あの赤い触手は馬車を襲い寸での所で助け出された女性をユルギスがささえる。
「カンスケ、マリア!街まで退くぞ」
緊迫した中、エルヴィンが留守を預かっていたユーリとヒスカを連れてくる。
ユーリはすぐに魔物を蹴散らしていき、ランバートも自慢の牙で倒していく。
「エルヴィン退くぞ!ユーリ、もういいぞ。下がれ!」
「エマ?…馬車に娘が」
気を失っていた女性が目を覚ますと、先ほど教われた馬車にまだ子供がいるという。
馬車を見ると、その馬車に魔物が群がり始めていた。
「あ…エマーーーー!!」
子供の母親の悲痛な叫びが上がると共に、ユーリ、ランバート、私は動く。
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