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この手紙を見たとき、私は初めて本当の父を見た気がした。
仕事ばかりに目を向けてばかりいた父は、こんなにも私の事を思ってくれていたことを。
そんな父の願いだ、断れる訳がない。
私はすぐに来ていた縁談を破棄し、騎士団に入ることを選んだ。
私は内部から探り、協力者には外部から調べて貰うことにした。
協力者は父の知り合いで、口が堅い人だ。
私は必ず、全貌を突き止めて父の代わりに止めてみせる。
それが私を愛してくれた父や母に出来る最後の親孝行だから。
コンコン
「…はい、なんですか?」
資料を見比べ、纏めてる作業をしているとドアを叩く音。
「マリア。これから暇?」
「食べに行こうよ」
巡回を終えたらしいヒスカとシャスティルがご飯の誘いをしてきた。
…巡回は朝だし、丁度纏めるのも終わったからたまには食べに行くのもいいですね。
「大丈夫ですよ。行きましょうか」
「じゃあ早速行こう!」
ユーリとフレンも誘ったようで、二人と合流してからお店に入る。
「やだ。ギルドがいるわ」
奥の席には柄の悪いギルドの集団がいた。
「タイミング悪ぅ〜」
「なんだよ、ギルドって」
「帝都の下町にもいたでしょ?自警団気取りで金儲け主義の連中よ。ユニオンっていう組織母体があるのよ。ドン・ホワイトホースってのがボスの名前」
「とにかく柄が悪いの」
「ふーん」
ヒスカとシャスティルの説明したのにも関わらずお構い無しにギルドの人達が近くにいる席を選んで座るユーリ。
「ちょっと、ユーリ!」
「あ…」
「マリアまで行かなくていいわよ。ユーリはヒスカに任せて私達は他に座りましょ」
「そうですね。なんだか嫌な予感がしますけど…」
私とシャスティル、フレンはカウンターに移動することにした。
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