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花屋で花束を買い、私は幼い頃住んでいた屋敷へと赴いた。

長年使われていない屋敷は廃れ、とても貴族が暮らしていたとは思えません。

「…たった4年でこんなになるのですね」

少し干渉に浸ってから、私は屋敷の裏手へと向かう。

そこには、屋敷とは違い綺麗にされた二つのお墓が立っています。

「お父様、お母様。報告に参りました」

4年前のある事件で帰らぬ人になったお父様とお母様のお墓に花束をそっと置く。

そして、これから行われる大規模な作戦の報告を二人にしました。

「…見守っていて下さいね。無事に皆が帰って来られるように」

報告を終えると、後ろから足音が聞こえてきました。

私は足音で誰か分かり振り向く。

そこにいたのは、私のお父様の友人であり、私の上司であるナイレン隊長でした。

「おう。マリアも来てたのか。あいつらに報告でもしてたのか?」

「はい」

「そうか。…しっかし、おまえも立派に育ったもんだな。あいつらも嬉しがってるだろうよ」

「そうでしょうか…。そうだったら私も嬉しいです」

ナイレン隊長は持っていた花束を私が置いた花束の横に置いて手を合わせています。

「…マリア。本当に騎士になって良かったのか」

ナイレン隊長の突然の問いに一瞬キョトンとしてしまう。

「なにをいまさら、ですよ。私は自分のやりたいことをしているまでです。あのまま知らない方に嫁ぐ方が嫌です」

そう。
騎士にならなければ、私は誰とも知らない貴族の男性と結婚させられていたでしょう。

今考えるだけでも冷や汗ものです。

「私にはやらなければならないことがあります。隊長の役に立つこと、あの事件の真相を探ること。騎士にならなければ出来ないことです。だから、私は後悔などしていませんよ」

「…ハッハッハ!マリアらしいじゃねえか。変なことを聞いた。すまねえな」

「いいえ」

ナイレン隊長は私の頭に手を置いて豪快に撫でました。

髪がぐちゃぐちゃに…。

「そういうことならガンガン働いてもらうからな、覚えておけよ」

「はい!」

私がこれからもナイレン隊長と共に歩むと誓った日。



映画始まる前のナイレンとの会話。


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