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世界が星喰みから解放されてから随分経ち、私とユーリは各地を転々としています。
新しい時代を作っていこうと頑張っているメンバーに会いに行ったり、沢山の景色を見に行ったり。
今まで下町を出ずにいたユーリはあの旅を機に世界に目を向けたらしい。
まぁ、下町の人達が大事なのは変わりないようだけど。
そんなユーリに付いていく私は、今日も元気にやっています。
今度こそ、私の私だけの人生を歩んでいきます。
父様、母様、ナイレン隊長。
*
「なに空見てんだ、マリア」
「ユーリ…。ちょっと報告をしていました」
「そうか」
草むらに寝転がっていた私は起き上がり、服についた草を払う。
ユーリが持ってきた昼食のマーボーカレーを受け取り、食べる。
うん、さすがはユーリ。
絶妙な味加減。
「あれ、そういえば、ラピードとショコラ達は何処に?」
「チビ共がフラフラと蝶を追っていったのを追い掛けてった。まだまだ目が離せないみてぇだぞ」
「好奇心旺盛ですからね。二人は大変そうです」
実はラピードとショコラには二匹の可愛い子犬が生まれました。
容姿はラピードにそっくりで、小さい頃のラピードを彷彿とさせる。
「ま、時間までには帰ってくんだろ」
「…確かギルドの仕事で呼ばれているんですよね?私も行きましょうか?」
なんでも皇帝陛下からオルニオンに続く新たな街作りのために、人が住めるだろう土地に赴き、測定してくる仕事だという。
「いや、マリアはここにいてくれ。さすがにチビ共まで連れてく訳にはいかねぇからな」
「…そうですね」
「離れてても、心は一緒」
「え?」
「だろ?」
そう言いながら耳に着いている赤いピアスを指で指す。
このピアスがあるかぎり、私達は再び巡り逢う。
心は繋がっている。
「はい…」
それは、ずっと続いていくおまじない。
私はこれからもユーリの傍に寄り添う。
end
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