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練兵場に用事があって行ってみると、一人だけ残って自主練習しているフレンがいました。
フレンはここに来てから一度も自主練習を欠かせたことはなく、息詰まらないか心配です。
少しは肩の力を抜けばいいのに…。
「…マリア先輩?」
熱心に剣を振っていたフレンは、私に気づいたのか手を止めて話し掛けてきました。
「こんにちは、フレン。前から言っていますが私の事は先輩と言わなくていいのですよ?同い年なんですから」
「いえ。上下関係を明白にするのは大切ですから」
「堅いですね。ユーリは先輩だなんて言わないのですが」
「……」
フレンがいきなり黙りしてしまいました。
ユーリの話は駄目だったようですね。
「フレン?」
「ユーリは…あいつは適当すぎる。騎士団の規律は守らないし、騎士には向いてない。どうして、ユーリは…」
「聞いてみましたか?」
「え?」
「理由を。ユーリに。フレンになら聞けば教えてくれますよ」
「……」
「まず相手を知りたければ、離れていた溝を埋めるには、話し合い、取っ組み合い、相手と向き合うことが大切ですよ」
「相手と向き合うこと…ですか」
「昔出来たことが、今は出来ないなんてありませんよ。ね?」
そう返すとフレンは口に手を当てながら考えてこんでしまう。
私、後押しは出来ましたよね?
「…では、私はこれで。自主練習も程ほどにしてくださいね」
「…!マリア先輩」
「はい?」
「ありがとう、ございます。…努力してみます」
「はい。頑張って下さい」
フレンという人間は、まだまだ不安定で、心になにか抱えている青年。
ここにいる間に、どれだけ成長するのか楽しみですね。
劇場始め前のフレンとの会話。
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