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「……、…」
…誰か、私の名前を呼んだ?
誰…?
「…マリア」
低い声…男の人…?
「いい加減、起きてくれよ。マリア」
とても切なそうな声
私はこの声を知っている…
「…ユー、…」
「…!マリア!?」
「…ユーリ…?」
「目が覚めたんだな!…、心配させやがって」
「私は…一体…」
*
私はアレクセイに致命傷を与えられたものの、発見が早くなんとか一命をとりとめたらしい。
しかし傷が治っても一向に目を覚まさずに一ヶ月たったという。
その間に、アレクセイは倒され、ザウデ不落宮によって封じられていた災厄、星喰みをユーリ達が精霊と呼ばれる始祖の隷長が進化した者の力によって倒して世界は救われたという。
「…そう。私は…なにも出来なかったみたいですね」
世界が危険に晒されていたのに、私はただ寝ていて…
「そんなことねぇよ」
「え…?」
「マリアが集めてた不正やら悪事やらの証拠とかのお陰で、例の…ブラックホープ事件の黒幕がアレクセイだって世界に知られたし、他に荷担してた偉い奴ら全員処罰された。つまりはだ、帝国の悪ぃ奴らは一掃されたわけだ。マリアがやって来たことのお陰で帝国は変わったんだよ」
「私のしてきたことが…帝国を変えた…」
「だから何も出来なかったなんて言うな」
「…はい。ありがとうございます…ユーリ」
私はユーリに抱き着いた。
流れてくる涙を見せないように…。
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