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アレクセイに剣を突き立てる。
「なに、糧を外したまでのこと。コレは私の計画を遂行するための道具に過ぎんのだから感情は不要だ」
「計画…っ!まさか、聖核に満月の子…、ザウデ不落宮…」
全てのピースが重なった。
彼は力で人を支配しようとしている。
それを成し遂げる為に必要なのは、巨大な力。
ザウデ不落宮は古代文明が作り出した魔導器がそれに当てはまる。
しかしそれを復活させるには宙の戒典が必要だがそれは行方不明。
アレクセイは考えただろう、無いのなら代用品を作ればいいと。
それに必要なのは…聖核と満月の子の力。
「やはり、あなたは世界を混乱に陥れる。…父が危惧していたのはこのことだったんですね」
父は止めたいと願った。
私はそれを叶えるために今まで活動してきた。
「アレクセイ!今ここであなたを処罰します!」
ここで彼を止めなければいけない!そう思った私は剣を構えた。
「貴様が私を処罰?それは無理だな。何故なら…」
アレクセイは動くことはせず、ただ手のひらに合った聖核を翳す。
「っ…あぁぁぁぁ!!」
それと同時にエステルを捕らえている球体から凄まじい力が放出され私は地に倒れる。
「貴様は私に触れることさえ出来ないのだから」
「…っ、」
「苦しいだろう。せめてもの慈悲だ。…苦しまずに一思いに殺してやろう」
倒れた私を前にして、アレクセイは躊躇なく振り下ろす。
お父様、お母様、ナイレン隊長…
ユーリ…
剣が私の身体を突き刺す前に走馬灯のように両親、ナイレン隊長、再会を約束したユーリの顔が浮かんでは消えていった。
…ごめんなさい。
激しい痛みと共に、私の意識は闇に溶けていった。
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