番外編:結婚式は盛大に?

グランコクマの聖堂の中で細やかな結婚式が行われていた。

「…ローレライと始祖ユリアの名の元、ここに二人を夫婦と認める」

「「はい」」

今日、私とジェイドさんは夫婦になった。

白いウェディングドレスを纏い、白い礼服を着たジェイドさんの隣にいるのが今でも夢のようだ。

「ルーシー、どうしまたした?ぼぅとして」

「あ、いえ…、あの、これからも宜しくお願いします。ジェイドさん」

「ええ、私の奥さん」

ニッコリと笑いながら、ジェイドさんは私の額にキスをする。

まさかの不意打ちに、私は顔から湯気が出るのではないかと思うくらい顔を赤くする。

あ、う…両親がいる前でしないで欲しい…。

うちの両親である二人は微笑ましいように笑顔を浮かべてこっちを見ているのが端に映る。

ハッ!ジェイドさんの義家族なんか、固まっているように見えるのは気のせいだろうか。

…あ、穴があったら入りたい…。

「あれ、そういえば…」

「なんです?」

「ジェイドさんの妹さんのネフリーさんは来れないのは聞いてましたけど、ピオニーさんはどうしたんでしょう。招待状は出しましたよね?」

絶対に行く!と笑顔で言っていたのに、この場にいない彼に首を傾げる。

仕事が急に入ったのだろうか、でもあのピオニーさんのことだ、なにがなんでも抜け出して来そうなものなのに…。

「ああ、陛下なら…」
「その結婚式待ったぁぁぁぁぁぁ!!」

バーン!!と、聖堂の扉が勢い良く開くと、そこには今さっき話していたピオニーさんがいた。

「俺はこの結婚式に異議を唱える!!と、言うことで」

「きゃ!?」

ピオニーさんは私達がいる場所まで来ると、車椅子に座っていた私を抱き上げる。

「陛下。ルーシーを下ろしなさい」

「ふん!おまえの言うことなど聞かん!返して欲しかったら、宮殿の大広間に来るんだな。では、花嫁は貰っていく!」

「きゃ!ジェ、ジェイドさーん!」

私を抱えたままピオニーさんは来た時より早く聖堂を出ていくのだった。

ピオニーさんは宮殿の大広間の前まで私を担ぎ、着いた途端そこにあった椅子に座られる。

「あー、髪が崩れちまったな。すぐにメイドを呼ぶから待ってろ」

「あ、え、あの!ピオニーさん、これはどういうことなんですか?」

乱れてしまった私の髪をほどいてからメイドを呼びに行こうとする彼を止めた。

どうしてこんなことをしたのか聞きたかったからだ。

「強いて言うなら、サプライズだ」

「??」

「なに、すぐに分かる」

曖昧な事を言ってからピオニーさんはメイドを呼び、髪や化粧を直された。

それから程なくして、ジェイドさんが大広間前にやってくる。

「ルーシー、陛下に変なことされませんでしたか?」

「だ、大丈夫です!」

「おいおい、俺でも親友の女を奪う趣味はねーよ。それよりおまえら、この扉を開けろ」

指を指したのは目の前に大きくそびえ立つ、大広間に繋がる扉。

私とジェイドさんは顔を見合わせてから、ゆっくりとけど確実に扉を開いた。

そこには…

「ジェイド大佐、ルーシー様、ご結婚おめでとうございます!!」

綺麗な飾り付けをされた大広間に広がる人や料理の数々。

「これは一体…」

「おまえらが親戚だけのこじんまりとした結婚式するって聞いたからな。結婚式はこう華やかで大勢で行うのがいいに決まってる!一生に一度のイベントなんだからな」

「ピオニーさん…!」

私達の為にそこまで考えてくれたなんて、と私が感激しているとジェイドさんは呆れ顔。

「ただ陛下が騒ぎたいだけでしょう。私達を口実に使わないで下さい」

「え…」

「ま、まぁ、なんにしてもだ!めでたいことなんだから、楽しめよー!」

そう言ってピオニーさんはその場から離れて行ったの。

「まったくあの人ときたら」

「…どんな理由でも、私は嬉しいですよ」

「では、後で陛下にそう言って下さい」

「はい!」

こうして私達の結婚式は盛大に開かれ、ピオニーさんのサプライズは大成功に終わるのでした。



end

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