世界渡り
記念すべき10度目の世界に降り立った世界は、世界樹と世界樹が生み出したとされる“星晶”というエネルギー鉱物で発展を続ける世界、ルミナシア。
7度目に訪れた世界、グラニデと同じ作りの世界だったから、なんとかすぐに溶け込むことが出来た。
そのグラニデの世界で知り合ったニアタという意識集合体から世界樹の種子云々の知識は貰っていたからね。
ちなみに、私は魔物と戦う術はない。
特技は吟遊詩人だから歌うことと家事全般出来るという、所謂一般人。
世界渡りは場所が選べなくて毎度毎度、魔物とかがいる場所に降り立つのはなんの因果か…。
いい加減戦闘を覚えた方がいいかと思うんだけど、何分人には得手不得手があるものである。
つまり私は、超が付くほどの戦闘音痴なのです!!!!
現に今までの世界でお世話になった人達には早くて一日、遅くて一週間で見放されたものです。
そして今また、このルミナシアでも…。
「…アリア様は戦闘には向いていないようですね」
「うぅ…、そうみたいだね」
「だ、大丈夫ですよ!人には得手不得手があります!アリア様は戦闘が駄目でも、家事は得意ではないですか!」
「うん…ありがとう。必死にフォローしてくれて」
私がルミナシアでお世話になっている教会で働く、空浮くグラニデのパニールと同じ生物のロックスにも言われました。
ロックスは外見とは裏ならに戦闘に長けていて、あのアンジュにも教えた実力者。
そんな彼でも、やっぱり挫折してしまう。
はぁ、なんか逆に申し訳ない。
「ロックス、アリア!休憩しない?」
「お嬢様」
「あ、カノンノ。うん!…休憩というより、もう終わったから…はは」
「あ、えと…なんか、ごめんね?」
この子はロックスの主であるカノンノ。
とっても可愛い女の子。
彼女を見ていると、グラニデのカノンノを思い出す。
元気にしてるかなー?
「ねえ、アリア。今日も詩歌を聞かせて欲しいわ!」
「うん。いいよー!」
一緒にお茶をしていたルビアに催促され、ハープを取り出し奏でる。
「では。…これは時空を越えて戦う青年たちの物語…」
ゆっくりと、丁寧に、私は見てきた歴史を詩歌に変えて語る。
[ 4/11 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]