5D's | ナノ



 jewelry*flavor


 革張りのソファーに腰掛けているプラシドの膝に跨る。向かい合うように座ると、目があった。


「プラシドさん」
 りんはそっと、赤い瞳に口付けた。舌でその眼球を舐める。
「……貴様、何をしている」
 低い声が耳をくすぐる。
「プラシドさんの目って赤くて綺麗だから……」
 目尻に指で触れる。
「だから、イチゴの味がするのかと思って」
「なんだそれは」
 プラシドは溜め息をつくと、りんを睨んだ。
「さっさと降りろ。俺はお前のように暇ではない」
「イチゴじゃなくて、ルビーなんですね」
「話を聞け、低脳」
 りんは不機嫌そうに頬を膨らませた。
「ひどいですよ。低脳なんて」
「人扱いしてやってるだけ有り難いと思え」


 不機嫌な彼女とは反対に、プラシドは口元に笑みを浮かべた。
「俺の目がルビーなら、お前のはサファイアだな」
 そう言って、りんの瞼を指でなぞった。反射的に目を瞑った彼女の顎を持ち上げる。
「目を開け、りん。この俺にもっとよく見せてみろ」
 2人の距離が、息がかかるほど近くなる。
「さっき、暇じゃないって言ってませんでした?」
「誰のせいだと思っている」
「人のせいにしないで下さい」
 プラシドの手がりんの腰に、りんの腕がプラシドの首に回される。
「フン……口の減らない女だ」
 互いの瞳に己の姿を映しあいながら、深く深く口付けた。





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